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2022年5月18日 (水)

「脱マスク」とナッシュ均衡

経済学のゲーム理論から見ると、「脱マスク」への移行はそう簡単ではないようだ。本日付日経新聞記事(「脱マスク」実現 経済学で考える)からメモする。

「同調圧力が強い日本では『みんなが着けている』から『みんなが外す』状態に移るのが難しい」。慶応大学でマーケットデザインを研究する粟野盛光教授は指摘する。現状は経済学のゲーム理論で「2つのナッシュ均衡が存在する状態」として説明できるという。

自分だけがマスクを外すことは風当たりが強い。他人がマスクを外しているのに自分だけマスクを着けても意味がない。こうした「自分だけが行動を変えても得しない状況」がナッシュ均衡だ。
新型コロナウイルス感染拡大期は「みんながマスクを着けている」状態が最適となって均衡した。それとは別に「みんながマスクを外している」状態での均衡もある。ゲーム理論では2つの近郊の移行が困難とされる。元に戻るには強いきっかけが必要というわけだ。

粟野氏は「まずはデータを科学的に示すことだ」、「もし『みんながマスクを外す』状態がデータで望ましいとなれば、人々の行動変容は進むだろう」と語る。
もう一つ、経済学者が口をそろえるのがメッセージの重要性だ。確立した習慣や同調圧力を覆すのは容易ではない。著名人や専門家が「マスクを外してもよい」とメッセージを発することで、人々の行動を変える。

「脱マスク」がいつ実現するのかは、まだ見通せない。科学的知見に基づく議論に加え、メッセージの発し方にも工夫がいる。

・・・ある行動が定着すると、そこから真逆の行動に転換するためには、納得できるデータや強いメッセージが必要になるのだろう。

「脱マスク」に似ているなと思われるのが、エスカレーターの「片側空け」。最近、各地の鉄道の駅ではエスカレーターの利用法について、「立ち止まって」とか「歩かないで」とか「手すりにつかまって」とか、標示やら自動音声やらで呼びかけているが、「片側空け」になっている場合がまだまだ多い。はっきりと「片側空け禁止」を言わない理由はよく分からないが、定着してしまった習慣を変えるためには、やはり強いメッセージを発する必要があるように思われる。

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