« スターリン化するプーチン | トップページ | 映画「ゴッドファーザー」50周年 »

2022年4月 9日 (土)

独ソ戦、ウクライナの敵は?

先日、「本屋大賞」を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬・作)、物語の舞台は第二次世界大戦、独ソ戦。主人公は、ソ連軍の女性狙撃兵士セラフィマ。彼女は狙撃訓練学校に入り、元狙撃兵の冷徹な教官長イリーナの元で、志を同じくする女性兵士たちと共に訓練に励む。仲間の一人、オリガはウクライナ出身。セラフィマに向けて、オリガが投げかけてくる言葉がとても気になる。

「ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる? なんども飢饉に襲われたけれど、食糧を奪われ続け、何百万人も死んだ。たった20年前の話よ。その結果、ウクライナ民族主義が台頭すれば、今度はウクライナ語をロシア語に編入しようとする。ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪すべき農地よ」
「ウクライナでは、みんな最初ドイツ人を歓迎していた。これでコルホーズが終わる。これで共産主義者がいなくなる。これで、ソ連からウクライナは解放されるんだって」
「コルホーズは解体されなかった。ドイツ人はスラブ民族を奴隷にするため、コルホーズを維持してウクライナの支配者になったの。・・・どういう意味だか分かる? セラフィマ。コルホーズはウクライナ人を奴隷にする手段なの。ドイツにとっても、ソ連にとっても」

「オリガ、あなたの話の中に、私はナチとソ連の決定的な違いがあったように思うの。ナチはウクライナを解放しようとはしなかった。ソ連を打倒してロシア人民を解放するとも言わない。それがドイツにとって合理的な勝利への近道であっても。それはナチ・ドイツが戦争を始めた理由が、そもそも私たち全部を奴隷にするためだったからよ」
「そう。奴隷化そのものが目的。ソ連がウクライナを目的のために奴隷化したのとは違う」

・・・オリガの言葉にぐっと詰まったセラフィマは、ナチ・ドイツは絶対に友達になれないが、ロシアとウクライナは朋友になれる、と言い返すのが精一杯だった。(実はオリガは秘密警察の一員であり、狙撃兵たちを監視するために送り込まれた人物だった。)

物語の終わりに、アレクシエーヴィチ作「戦争は女の顔をしていない」との「接点」が置かれているのを見た時は、「そうか。そうきたか」という感じがした。自分は「戦争は~」のマンガ(化作品)は読んだが、原作は読んでない。で、「同志少女よ~」についても、作者に申し訳ない気もするが、誰かこれマンガ化してくれないかな~とか思ってしまった。(苦笑)

|

« スターリン化するプーチン | トップページ | 映画「ゴッドファーザー」50周年 »