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2022年3月 1日 (火)

冷戦終結30年後の「ウクライナ危機」

1989年、アメリカの政治学者フランシス・フクヤマは論文「歴史の終わり」で自由な民主主義の勝利を示唆。その直後、ベルリンの壁が有名無実化した。冷戦終結から30年余り経過した現在、フクヤマ氏の目にウクライナ危機はどう映るのか。本日付日経新聞インタビュー記事(ウクライナ危機を聞く)からメモする。

ウクライナ危機は極めて重要な事件だ。問題はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟ではない。ロシアのプーチン大統領の願望は、ソビエト連邦の再建と旧ソ連崩壊後にできた欧州の安全保障秩序の転覆だ。

(冷戦終結を先取りした「歴史の終わり」の後に続いた)民主主義の拡大の時代は明らかに終わった。強権国家の台頭が続いている。
いまは明らかに異なる歴史の局面にいる。「歴史の終わり」で問いかけたのは、自由な民主主義を上回る政府のモデルがあるかだった。いまも答えはノーだと思う。だが、現代の我々は民主主義の後退と弱体化に対抗しなければならない。

ではこれは第2次冷戦といえるのか。ロシアは旧ソ連のような強国では全くない。50年続いた冷戦のようにはならない。長期では中国こそ最大の脅威だ。
ウクライナ侵攻が中国の台湾侵攻の誘因になるかは、この戦争の長期的な結末による。ロシアが反撃を受けて多くの死者を出し、制裁で痛手を負えば、台湾問題では注意深く動くよう、中国に促すことになる。

民主主義勢力が強権主義を押し返すために必要なことはなにか。それはさらに厳しい制裁をロシアに科すこと。そして再び兵力の強化を考えることだ。
民主主義は強権主義を抑え込めると思う。冷戦下でも意見の不一致や弱点を抱えながら、西側同盟は結束して2世代にわたり持ちこたえた。いまできないことはない。

・・・かつての冷戦における社会主義対資本主義(自由な民主主義)のイデオロギー対立は、今や強権主義と自由な民主主義の対抗に衣替えした。自由な民主主義の勝利を意味する「歴史の終わり」、そこに辿り着くのは未だ遠い道のりのようである。

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