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2022年1月 5日 (水)

白川・日銀前総裁、経済の課題を語る

日本経済の根本的課題は潜在成長率の引き上げであると、白川方明・日銀前総裁は指摘する。本日付日経新聞記事から以下にメモする。

白川氏は2008~13年に日銀総裁を務めた。08年のリーマン・ショック直後に事実上のゼロ金利政策を再開し、黒田東彦総裁の現体制で緩和政策は一段と加速した。

量的緩和によって日銀の総資産は12年末の158兆円から717兆円へと膨らんだが、消費者物価指数(CPI)上昇率は目標の2%に達していない。白川氏は「日銀のバランスシートは著しく拡大したが、物価上昇率は上がらなかった。低成長の原因は物価や金融政策ではなく、本当の課題は潜在成長率(の低下)にある」と強調した。

同氏は総裁在任中、緩和規模が小さいなどと批判を受けたが、「予想されるリスクや副作用を考えると、マネージできると考える域を超えて大規模に(金融緩和を)行うのは、職業人として取りえない選択だった」などとも述べた。

日本の過去20年の潜在成長率は平均0.7%で、直近では0.4%まで低下した。白川氏は、デフレ脱却とマネー量の増大を重視した政策課題の設定に誤りがあったと指摘。潜在成長率を引き上げるには、①出生率低下の歯止め、②生産性の引き上げ、③政府による成長投資、④財政の持続可能性――の4つが課題になると指摘した。

・・・バブル崩壊後の日銀総裁で、たぶん一番評判が悪かったのは故三重野康氏で、二番目がこの人、白川氏かな~。学者肌の理論家という印象で、結果的に不徹底な政策を採り続けた日銀総裁として記憶されている、ような気がする。確かに黒田日銀の異次元の金融緩和政策は、開始から9年近く経過した今も、物価上昇率2%という所期の目標を達成していない。これだけ見れば、失敗と評価されても仕方がないと思うのだが、この常軌を逸した政策が、結局は景気をはっきりと好転させたことも間違いない。困難な局面を打開する時のトップは、普通のエリートではダメで、蛮勇をふるうエリートが求められるのだなあと思う。

それはそれとして、白川氏の示す経済の課題について異議を唱えるものではない。というか、少子化対策や生産性向上は、日本経済の長期的課題として、ずーっと言われてきたようなことでもある。この30年以上、日本経済が回復する時は結局、概ね低金利と円安に支えられていたのであり、いわゆる構造改革はろくに進展していないと言わざるをえない。経済分野に限らず、いつも思うことは、たくさんの頭の良い人たちがいろいろ言ってみても、なぜか世の中はなかなか良くならないということだ。はあ。

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