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2021年12月19日 (日)

日本経済の活力不足と地盤沈下

日経新聞15日付と18日付の市況欄コラム「大機小機」から、以下にメモする。

わが国の失われた30年の基本的な姿。それは経済政策と言いながら経済成長をもたらさなかったという意味で、バラマキ政策を繰り返した姿だったといえよう。
実は過度な財政支出は、民間企業だけでなく、日本経済全体の活力もそいでしまうという問題を抱えている。それはケインズ経済学の基本が教えるところだ。ケインズ政策の効果としてよく知られているのは、財政拡大が不況からの回復をもたらすというものだが、同時に経済成長はもたらさないことも教えている。それを聞いた人がケインズに、では何が経済成長をもたらすのかと聞いたことへの答えが、アニマルスピリットだった。
アニマルスピリットとは、人々がよりよい生活の実現に向けてチャレンジしていくことだ。今必要なのは、新型コロナウイルスへの危機対応に加えて、国民のアニマルスピリットを喚起する政策だ。そこを押さえずに財政支出の拡大ばかりを求めていては、失われた30年が続き、日本はアジアの中でも貧しい国になっていってしまう。(15日付「財政拡大がそぐ経済の活力」)

日経平均株価は今年の2月に30年ぶりに3万円を回復し、先行きに明るさを予感させた。しかしその後一進一退を繰り返し、11月末には年初水準に逆戻り。
低迷が続く要因は多岐にわたる。最も重要な要因は企業の稼ぐ力の弱体化であり、先行きの展望に明るさが見通せないことだ。かつては経済一流と評価され、それを支えたのはまぎれもなく活力あふれる企業群だった。世界をリードする企業が目白押しで、日本企業の世界での存在感は極めて高かったといえる。
そのことに慢心したのか、守りに入ったのか、多くの企業で熱意、活気が失われていった。一部の革新的な企業を除き、新たな価値創造へ向けた熱意が薄れ、改革も決断せず現状維持を続ける企業が日本中にまん延した。執行を監督する社外取締役は増えたが、残念ながら企業価値向上に貢献しているとはいいがたい。株価は見事にその実態を映し出している。
企業は今こそ創業の原点に返り、存在意義を組織に浸透させ、企業価値向上を実現せねばならない。今のままでは日本経済の地盤沈下は止まらない。(18日付「経済の地盤沈下が止まらない」)

・・・今では90年代のデフレや不良債権問題は過去の話になったのかも知れないが、当時形成された政策的経営的マインドは今も日本を呪縛しているように見える。つまり何だかんだ言っても、日本経済はバブル崩壊の後遺症を未だに引きずっている(だから「失われた30年」なのだ)、と思える。すなわち政策的には円安と低金利そして財政出動への依存、そしてこれらが企業再編や労働力流動化の遅れにつながり、その結果として生産性向上の遅れ、低賃金の継続等を招いている。「コロナ後」の日本経済の見通しがさえない中で、ここから民間企業がアニマルスピリットを奮い起こして活力を取り戻し、さらなる企業価値の向上に邁進していけるのかどうか。岸田政権の経済政策が、その呼び水になると期待できるのかどうか。(まあ自分も結構日経新聞に毒されているので、そこはネガティブに見てますね)

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