SBI対新生銀行、決着
SBIホールディングスが新生銀行に仕掛けたTOBは、SBIの要求が通る形で決着することになった。その舞台裏を日経新聞が伝えている。電子版本日付発信記事から以下にメモ。
新生銀がSBIに求めたのは、同行が国に示した海外でのM&A(合併・買収)推進といった経営方針や事業戦略をSBIが尊重することだ。ホワイトナイト(白馬の騎士)が現れない中、経営方針をSBIが尊重すれば、買収防衛策を取り下げる用意があると伝えた。北尾吉孝社長は、一度は新生銀の提案をはねのけた。
しかし、国(預金保険機構と整理回収機構)が新生銀の買収防衛策に賛成しない方針を固めたことで空気は変わった。
「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」北尾社長が愛読する兵法書「孫子」の一節だ。国がSBIの手法にお墨付きを与えることがほぼ確実になった以上、北尾社長にとって最も重要なのは新生銀の新社長として送り込む側近中の側近、川島副社長が万難を排して受け入れられることだった。
24日午前、SBIは新生銀に3つの条件を伝えた。現取締役の退陣、SBIによる取締役候補者の受け入れ、臨時株主総会の早期開催――。新生銀が受け入れると回答し、両社のトップ会談が実現する運びとなった。
24日昼すぎ、北尾社長はSBI本社がある泉ガーデンタワー20階で、新生銀の工藤英之社長を迎えた。「失礼なことを言ってすみませんでした」。北尾社長は頭を下げ、決算説明会で工藤社長について「カネ(公的資金)を返さないのは泥棒と一緒」「ぼんくら経営者」などと激しく非難したことをわびた。
北尾社長は新生銀が国に示した経営方針・事業戦略を「そのまま尊重する」と述べた。工藤社長もSBIから新社長を迎えて事業運営に協力すると約束した。会談はわずか15分程度で終わり、双方が協調して新生銀の企業価値向上に取り組む姿勢を確認した。
「金融庁を含め円満で三方よし。憂いもない形にできた」。北尾社長は周囲にこう語る。工藤社長は「きちんとした形で社長を引き継げることは大変ほっとしている」と話した。もっとも、新生銀はSBIの提案を上回る選択肢を示せず、明け渡しを余儀なくされたのが実態だ。
SBIが大義に掲げた公的資金の返済は、何代にもわたり過去の新生銀経営陣が挫折してきた。北尾社⻑は有言実行できるのか。今後の新生銀の株価がすべてを物語る。
・・・戦わずして勝つ、これが兵法の極意。ホワイトナイトは現れないし、国も買収防衛策に賛成しないし、戦いの前に新生銀行は詰んだ。ということでSBI北尾社長の完全勝利。まあできれば株主総会が開かれて、衆人環視の中で手続きが踏まれた方が良かったとは思うけど。で、これまでの「ぼんくら経営者」がいなくなっても、公的資金完済のためには、新生銀行の株価(TOB価格2000円)を7450円まで上げなきゃいけないらしいので、これはこれで大変だろうな。
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