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2021年9月26日 (日)

みなもと太郎「ホモホモ7」

去る8月7日に、マンガ家のみなもと太郎が死去。みなもと太郎の代表作といえば、歴史大河ギャグ「風雲児たち」なのかも知れないが、自分はやっぱり「ホモホモ7」。「風雲児たち」は何か普通のマンガという感じだが、「ホモホモ7」という実験的ギャグマンガのインパクトは大きかった。

追悼の思いで改めて「ホモホモ7」を読もうかと思ったが、今は「復刊ドットコム」による「完全版」が2600円(税抜き)で出ているのみ。購入するのにちょっと決心が必要な値段だった。(電子版が安いけど、どうも年寄りは電子版に手が出ない 苦笑)

「ホモホモ7」は1970年~71年、講談社「少年マガジン」に掲載。もう50年も前のマンガだけど、各ストーリーの様々な場面の多くは自分の記憶に残っていた。基本的な設定はスパイもので、男の組織ホモホモ・ブロックと女の組織レスレス・ブロックの戦いを描くのだが、主人公の活躍の舞台は任侠風、宇宙SF風、古代ローマ風、ラブロマンス風と、作者の好き勝手に展開。当時を思い起こさせる「大阪万博」とか「谷岡ヤスジ」とか、「家畜人ヤプー」(沼正三の小説)とか「おとっつあん、おかゆができたわよ」(当時のバラエティ番組「シャボン玉ホリデー」の定番コントのセリフ)なんて言葉やセリフも出てくる。当時のマガジン連載マンガの女性登場人物も借用されていたりして、何とも楽しい。

この本では資料として、マガジン連載初回「ホモホモ7只今参上」の、試作版ともいえる「レスレス7喜々一発」も掲載されている。2作のストーリーは基本的に同じだが、なぜか「喜々一発」の登場人物の呼び名はホモホモイレブンとレスレスセブンで、後の設定と逆になっている。「ホモホモ7」といえば、ギャグタッチと劇画タッチの混在が特長だが、「喜々一発」と比べて「只今参上」は劇画タッチの部分が増えて、全体的により丁寧に描かれている。

実は「喜々一発」は1969年、小学館「ビッグコミック」に採用された作品。しかし掲載する機会がないまま一年ほど経過。作者がたまたま少年マガジンの副編集長に会う機会があり、作品コピーを見せたら、書き直しのうえ掲載することになった、という。この辺の経緯は、自分は知らなかったので、非常に興味深く感じた。当時の少年マガジンは内田勝編集長ー宮原照夫副編集長の布陣。まさに目利きの副編集長のおかげで、最初は青年向けマンガだったものが少年誌掲載に変わり、1970年当時小学5年生だった自分も読めることになったと思うと、感慨深い。

それにしても、自分の子供の頃に楽しみを与えてくれた人々が世を去っていくのは、しみじみ寂しい。

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