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2021年8月13日 (金)

皇位継承の「方向性」

先月7月26日に開かれた有識者会議で示された皇位継承に関する「整理の方向性」について、本日付日経新聞に論評記事が掲載されているので、以下にメモ。

対策案は①女性皇族が婚姻後も皇室に残る②戦後に皇籍を離脱した旧皇族の子孫の男系男子を皇族の養子とする③旧皇族の子孫を皇室に復帰させる――の3つ。最重要課題の皇位継承にかかわるのは②③で、従来から男系維持の保守派が主張してきた案だ。

同じ問題を討議した2005年の小泉純一郎内閣での有識者会議最終報告とは百八十度違ったものになった。同報告は男女を問わない長子継承と女性・女系天皇の容認を打ち出した。
当時は上皇さまの孫世代に皇位継承者が一人もいない危機的状況が議論に影響した。今回の有識者会議は、同世代で皇位継承者が悠仁さま1人の状況をどう考えるか、という視点での仕切り直しの議論だった。

(天皇の役割について)意見を述べた21人の識者の回答は2つに集約できるように思える。天皇の正当性を神話に由来する祭祀王であることに求めるか、象徴として国民を統合する存在と定めた日本国憲法とするのか、である。大まかに見れば、前者に男系維持、後者に女系容認の論者が多い。
今回の有識者会議で「国論を二分することは避けるべきだ」という言葉が何度も聞かれた。しかし、すでに国民の天皇観は分裂しているといえる。

そして、皇位継承制度以前に、皇統断絶の要因になりえる「配偶者の枯渇」についてはほとんど議論されていない。
観念論争がどう決着しようとも、出生率など生物学的現実は冷厳である。

1945年の敗戦のように、断崖に追い込まれるまで何も変えられないことは、この国の歴史にはよくある。

・・・「神話」派は「伝統」を過大評価しているだろうし、「憲法」派は「象徴」を自明なものとして疑ってはいないようだ。まあ、これを議論しだすと、「観念論争」は余計ややこしくなるわけですが。

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