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2021年2月10日 (水)

ガバナンス改革の理想と現実

昨日9日付日経新聞投資情報面コラム「一目均衡表」(社外取 本質かすむ「数合わせ」)から以下にメモする。

日本の企業統治を巡って周囲が騒がしい。今春に3年ぶりに改定されるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)で独立社外取締役が3分の1以上と、現行の2人以上から引き上げられる。
2100社を超える東証第1部では、独立社外取締役が3分の1以上を超える比率が4割超にとどまる。指針の改定は6月の株主総会から適用される見通しで、「未達」の上場企業はあわてて社外人材の確保に動いているようだ。

社外役員の増員は不可避の流れだが、実態を探ると首をかしげる現実がある。「この会社では社用車はつくんですか」「3社ぐらい同時にやれたら経済的に助かるんだが」。候補案件を持ち込むヘッドハンターに対し、こう問いかける元経営者が少なくない。
上場企業側にも課題がある。社外役員の年収は800万~2000万円程度とされるが、ヘッドハンターには「年300万円で誰か探してもらえないでしょうか」といった相談も舞い込む。人物本位ではなく、いかにコストをかけずに社外役員を引っ張ってくるかが優先される。

問われるべきは量ではなく質なのは明らかだ。企業統治指針は2015年、日本の成長戦略の一環として適用された。低い収益性を改善し、企業価値を高めることが最大の眼目にある。社外役員に対して、経営者の暴走に歯止めをかける役割が求められる米欧とは成り立ちが違う。
日本企業が資本生産性で米欧勢に負けてきたのは事実であり、ガバナンス改革を稼ぐ力につなげる必要がある。
社外取締役自身のバリューアップをどう図るか。長い時間がかかるのは覚悟で数の議論を超えた本質論にまで踏み込まないと、理想と現実の溝は埋まらない。

・・・「攻めのガバナンス」により企業価値向上を図る。当時のアベノミクスの一環として始まったガバナンス改革ではあるが、コーポレート・ガバナンスとは本来、株主目線から企業価値の毀損を防ぐという「守り」の姿勢を基本とするように思う。仮に「攻めのガバナンス」という概念が成立するとしても、社外取締役の頭数を揃えるだけでガバナンスが改善し、企業価値の向上につながると素朴に考える向きは多くはないだろう。結局、ガバナンス改革が成果を挙げるかどうかは、個別企業の試行錯誤も含む努力の継続に懸かっているという感じだ。

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