2021年株式相場の見通し
「日経ヴェリタス」1月3日号、新年最初の特集は、もちろん2021年株式相場の見通し。専門家69人のアンケート回答から今年の日本株相場を占うというもので、以下はメモと感想。
まず今年のテーマは「コロナからの回復」。日経平均の高値安値及び時期の最多予想は、高値が12月の3万~3万1000円、安値は1月の2万5000~2万6000円。株価上昇予想の大前提は、コロナの影響後退に伴う経済活動正常化による企業業績の回復期待、そして金融緩和や財政出動など政策面の支援が引き続き見込めること。リスクとしては、コロナ変異種の感染拡大や、景気急拡大が金利上昇を招く可能性。為替相場はドルが売られやすい地合い。ただし円高と日本株安の連動性は、一時よりも低下しているという。
以上から、日経平均3万円に向けた上昇相場が基本シナリオ。とはいえ、今年の干支である丑年の相場格言は「つまずく」とされる。最近の丑年は、2009年は日経平均のバブル後最安値(7054円)、1997年は山一証券自主廃業ということで、何だか波乱含みの気配もある。
このほか記事は、「景気が回復するにもかかわらず緩和的な金融政策が維持される『いいとこ取り』を見込む声が多い」ことや、「株価予想の根底には『金融緩和の継続でPER(株価収益率)などのバリュエーションが高い状態を維持したまま、業績が回復する』との見立てがある」ことも伝えている。
確かに、低金利環境持続と企業業績回復が共存する(「コロナ・ゴルディロックス」と呼ぶ人もいる)相場に発展する可能性はあるのかもしれないが、一方でコロナと金利の動向という結構微妙なバランスの上に、株式相場は乗っかっているともいえる。また、現状の株価水準からは企業業績の回復期待が強すぎる感もあるため、今後バリュエーションが頭打ちになる可能性もある。つまり実際に企業業績が回復しても、いわゆる材料出尽くし感から株価が上昇しない可能性も、もちろんある。さらに株価の変動幅を考えると、昨年の日経平均は高値と安値の間で1万円以上動いた。つまり上昇にも下降にも相当なエネルギーを使った相場だっただけに、今年は逆に相場変動が小さくなる可能性はある。日経平均3万円とは言っても、現状の株価水準から1割程度の上昇に止まるとも言えるし、今年の相場は基本的に強いとしても、派手な上値追いは期待しない方が良いのだろう。
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