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2021年1月27日 (水)

マイナス金利と構造改革

日経新聞「経済教室」では「マイナス金利政策5年」のテーマで論考を連続掲載。本日の執筆者は、加藤出・東短リサーチ社長チーフエコノミスト。結論部分から以下にメモ。

マイナス金利を含む超低金利政策とそれによる通貨高回避は、日本経済に痛み止め効果をもたらしてきた。超低金利がサポートする政府支出拡大も痛み止め効果を強めてきた。低収益企業は淘汰を免れ雇用は維持されてきたが、生産性は向上しにくくなっている。その結果、日本は今や「低賃金の先進国」になりつつある。賃金が伸び続けないとインフレ目標は達成できない。

経済協力機構(OECD)による賃金ランキング(購買力平価ドル換算)で、日本は1994年には13位だったが、19年には24位に下落した。製造コストは先進国間で比較すれば決して高くないのに、通貨安の継続を望む国になっている。競争力のある産業が減っていることがうかがわれる。こうした状況は痛み止め策のさらなる継続を求めるので、日銀はなかなか金融政策を修正できない。

対照的なのがスウェーデンだ。同国の中銀は19年12月にマイナス金利を削除した。同国ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が戦略的に推進され、IT(情報技術)系企業が顕著に増えた。製造業でも北欧ブランドの成功により付加価値向上を実現している。

つまり日本で円安誘導が好まれ、政府・日銀がそれに応える状況が続いているのは、経済の新陳代謝が一向に進んでいないことの表れといえる。現在のコロナ禍を契機に、構造改革を推進していく戦略が求められる。

・・・低金利通貨安環境の中に安住することなく、構造改革を進めなければいけないはずの日本経済・企業。でももう何だかんだで30年くらい、同じようなことが繰り返し言われ続けてきたような気がする。

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