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2021年1月28日 (木)

幸福とは調和の感覚

トマ・ピケティら優秀な教え子を持つ経済学者ダニエル・コーエン。有能な教師でもある彼の考える幸福とは。『新しい世界』(講談社現代新書)所収のインタビュー記事からメモする。

基本的には、人の幸せとは周りとの関係から生まれます。
単純化してしまうと、ヒトは社会で生きることを尋常でないほど切望する動物なのです。人にとっての成功とは、何か絶対的な基準があるわけではなく、つねにほかの人と比較してのことなのです。
私が資本主義の世界に関して残念に思うのは、お金が人間関係においてこれほど大きな意味を持つようになってしまったことです。

(幸福になるためには)人とともに生きること、信頼できる友人を持つこと、ほかの人との競争をできるだけ敵意のないものにすること。
いずれにせよ幸福を目標としてとらえるのはよくないですよね。「幸せになろう」と思ってもうまくはいきません。アリストテレスだったかと思いますが、幸福は報酬であり目標ではないと言っています。目標とすべきは、近しい人とともに時間を過ごし、その人たちを助けたり、会話をしたりすることです。家族や友人だけでなく、交流の範囲をもっと広げるのもいいかもしれません。私は教師なので、自分の教え子がそれぞれの進む道を見つけたときには大きな満足感を覚えます。

心掛けるべきなのは、自分の内の調和を保ち、周りの人とも調和を保つことです。

・・・成功は目標になるが、幸福は目標にはならない。それは目指すべき状態ではない。日々の暮らしの中で生まれる他者との交流、共感、調和の感覚を味わうこと、それが幸福であると考えてよいのだろう。

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2021年1月27日 (水)

マイナス金利と構造改革

日経新聞「経済教室」では「マイナス金利政策5年」のテーマで論考を連続掲載。本日の執筆者は、加藤出・東短リサーチ社長チーフエコノミスト。結論部分から以下にメモ。

マイナス金利を含む超低金利政策とそれによる通貨高回避は、日本経済に痛み止め効果をもたらしてきた。超低金利がサポートする政府支出拡大も痛み止め効果を強めてきた。低収益企業は淘汰を免れ雇用は維持されてきたが、生産性は向上しにくくなっている。その結果、日本は今や「低賃金の先進国」になりつつある。賃金が伸び続けないとインフレ目標は達成できない。

経済協力機構(OECD)による賃金ランキング(購買力平価ドル換算)で、日本は1994年には13位だったが、19年には24位に下落した。製造コストは先進国間で比較すれば決して高くないのに、通貨安の継続を望む国になっている。競争力のある産業が減っていることがうかがわれる。こうした状況は痛み止め策のさらなる継続を求めるので、日銀はなかなか金融政策を修正できない。

対照的なのがスウェーデンだ。同国の中銀は19年12月にマイナス金利を削除した。同国ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が戦略的に推進され、IT(情報技術)系企業が顕著に増えた。製造業でも北欧ブランドの成功により付加価値向上を実現している。

つまり日本で円安誘導が好まれ、政府・日銀がそれに応える状況が続いているのは、経済の新陳代謝が一向に進んでいないことの表れといえる。現在のコロナ禍を契機に、構造改革を推進していく戦略が求められる。

・・・低金利通貨安環境の中に安住することなく、構造改革を進めなければいけないはずの日本経済・企業。でももう何だかんだで30年くらい、同じようなことが繰り返し言われ続けてきたような気がする。

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2021年1月26日 (火)

「能力主義」称揚と米国政党の変質

新しい世界』(講談社現代新書)は、副題に「世界の賢人16人が語る未来」とあるように、「クーリエ・ジャポン」のインタビュー記事を集めて再構成したもの。賢人の一人、政治哲学者マイケル・サンデルは、革新派の政治家がグローバル化に対応するにあたってメリトクラシー(能力主義)の文化を持ち上げてしまったせいで、労働者階級の人びとが当然のごとく怒りを抱き、惨憺たる結果を招いてしまったという。サンデルの述べるところから以下にメモする。

(中道左派の政党は)労働者の高まりゆく怒りと不満の声が耳に入っていませんでした。グローバル化の唯一の問題点は、勝ち組から負け組への所得再分配が不充分なだけだとみなしていたところがありました。しかし、これは単に正義と再分配の問題ではないのです。これは社会から承認されたい、社会的に尊重されたい、という問題でもありました。
労働者階級の白人男性は、社会が自分たちを尊重しなくなったと感じているのです。

政党の支持基盤の変化は興味深いです。社会民主主義の政党は本来、労働者と中流階級のための政党であり、彼らに支持されていました。従来は、富裕層と高学歴層が共和党に投票し、労働者が民主党に投票する傾向があったのです。それが1970~80年代から変わりはじめ、90年代の時点で、ビル・クリントンとトニー・ブレアが新自由主義的なグローバル化や金融の規制緩和を推し進めるようになっていました。中道左派の政党は次第に、高学歴の官僚やビジネスエリートの価値観に自分たちを合わせていき、労働者階級の支持を失ったのです。いまでは大卒が民主党に投票し、低学歴者がトランプに投票しています。教育が米国政治を分断する最大の要因になっています。

・・・サンデルは、能力主義の闇の部分に気付くことなしには、民衆の怒りを利用するポピュリズムに対抗できる政治を用意できないことを、とりわけ革新政党に分かってほしい、と語っている。

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2021年1月16日 (土)

米共和党、無惨なり

ニューズウィーク日本版1/19号記事「トランプの乱とファシズム的未来」から以下にメモする。

共和党はこの60~80年ほどの間、右傾化し続けてきた。これは、圧倒的に白人中心だったアメリカ社会が多民族社会へ移行し、あらゆるグループに平等な権利を認めるようになり始めたことへの反発が生み出した結果だった。

共和党は白人の既得権、大企業の利益、一部の人への富の集中を擁護する政党に変貌している。今日の共和党的発想によれば、連邦政府の政策はほぼ全て、「昔ながらの生き方」と「自由」を否定し、白人に犠牲を強いてマイノリティーを「不公正」に(とこの勢力は考えている)優遇するものに見えている。

共和党は、異人種に対して被害者意識を抱く人々の政党と化していて、政府の機能を有用なものと考えず、自分たちの「リーダー」を祭り上げることにより、民主政治の「抑制と均衡」の仕組みを弱体化させようとしている。これは、もはやファシズム以外の何物でもない。問題は、そのような政党がアメリカの2大政党の一つであることだ。

トランプ支持派の議事堂乱入は、アメリカにとって19世紀半ばの南北戦争以降で最悪の危機と言っていい。しかし、アメリカの民主主義に対してそれ以上に大きな危険の種は、昨年11月の大統領選でトランプに投票した膨大な数の有権者の思考の中に潜んでいる。それにより、アメリカは、トランプが去った後も長期にわたり、社会的・政治的な分断と衝突に苦しめられるだろう。

・・・大統領選でトランプが獲得した票は7400万票という。無論その全ての投票者が、議事堂に突入した暴徒と同じ考え方を持っているわけではないにしても、議事堂占拠の様子を見せられると、かなりヤバイ感じがする。あれではトランプは「ヒトラー」だし、暴徒はまさに「突撃隊」か、と言いたくもなる。そうなると、トランプ色に染まりつつある共和党は「ナチス」ということになる。

一方で、アメリカでは社会主義に好意的な若者が多くなっているらしい。民主党では極左勢力の影響も無視できないという。思い起こされるのは100年前、1920年代のドイツだ。当時のワイマル共和国では、社民政権の下でナチスと共産党が勢力を伸ばした。ということで、アメリカは「ワイマル共和国」になりつつある・・・と言っていいのかどうか、でもそんな感じ。

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2021年1月11日 (月)

織田政権と本能寺の変

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」は来月の2月7日が最終回。だからだろう、雑誌『歴史街道』と『歴史道』の最新号は、いずれも「本能寺の変」を特集。本能寺の変を、天下統一の最終段階における織田政権内の重臣間の派閥抗争の帰結とみるのは藤田達生・三重大学教授。以下に『歴史道』掲載の論考からメモする。

天正十年の毛利氏や長宗我部氏との戦争の後、信長の領国を拡大するため、宿老層は最前線の遠国へと国替が命じられる可能性が高かった。これに対して、嫡男織田信忠以下の一門衆は畿内近国で城主となっていたが、さらに加増などを受けて政権運営上も重要な役割を期待されることになっていたとみられる。

ここで重要なのが、近習である。信長の薫陶を受けた若い俊英たちは、年齢に見合わないほどの重職を果たすようになった。
従来のように、光秀ら宿老層を使って重要政策を執行するのか、経験を積みつつあった若い一門・近習を中心とする専制的かつ集権的な国家を創出するのか、政権を分裂させかねない対立があった。天下統一を目前に控えた時期、信長は専制化と政権中枢の世代交代を進めるべく、後者に大きく舵を切ろうとしていた。
筆頭宿老的立場の光秀は、畿内近国支配をめぐり一門・近習たちとライバルの関係にあった。しかも、信長の専制化によって最も被害をこうむる立場にあり、将来に希望をもてなくなったしまったといってよい。

信長の中国・四国攻撃の後に光秀に国替が待っていたことも、本能寺の変の重要な前提だった。信用度の低い史料ではあるが、『明智軍記』には中国出兵に際して、光秀が信長から出雲・石見への国替を命ぜられたと記す。

・・・この織田権力論の中に本能寺の変を位置づける見方は非常に興味深い。光秀の謀反の動機は、政権の外部からは窺い知れないということ。だからこそ怨恨や野望など、分かりやすい理由が面白おかしく語られたのだと思われる。

ただ藤田先生は足利義昭の関与に固執している。四国を巡る主導権争いにおける羽柴秀吉・三好康長VS明智光秀・長宗我部元親の構図、そこに足利義昭が光秀に働きかけて、元親も含めた三者が奇跡的に結びつき、未曽有のクーデターが実現したという。しかし、光秀と義昭を無理に結びつける必要があるとは思えない。織田権力の内部闘争だけでも、光秀謀反の動機を充分説明できる印象だ。

強敵の武田氏を滅亡させた後、織田権力は新たな段階に移行する過渡期、不安定な時期にあった。信長が息子たちに権力を譲り、一門で畿内を押さえようと考えるのは自然だし、となれば光秀が領地召し上げの憂き目に遭う可能性は高かったといえる。変の数年前には、宿老の佐久間信盛らが追放されている。お役御免となれば、畿内から遠国に国替えになるかもしれないと、光秀の心中はモヤモヤしていただろう。そこに突如として訪れた絶好のチャンス。信長信忠親子が殆ど無防備で京都にいる。織田軍団の司令官たちは各方面の前線で敵と戦っている。まさに今、自分が信長の生殺与奪の権を握っている。こんな機会は二度とない。光秀は考える。この先信長がいるのといないのとでは、どっちが自身と明智家にとって得か。あるいはリスクが小さいか。答えを出した光秀の軍勢の向かう先は京都、本能寺だった。ということではないだろうか。

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2021年1月 5日 (火)

明智光秀は本能寺から離れて待機

織田信長が明智光秀に討たれた本能寺の変。1582年に起きた日本史上最大の謀反だが、映画やドラマでは光秀自身が本能寺襲撃を指揮する場面があったりする。しかしそれが史実というわけではなく、新たな史料研究によれば、光秀本隊は京都郊外で待機していたらしい。本日付日経新聞社会面記事からメモする。

金沢市に現存する古文書に、光秀は本能寺から8キロ離れた鳥羽(京都市南部)に控えていたとの家臣の証言があることが、富山市郷土博物館の萩原大輔主査学芸員(日本中世史)の調査で4日までに判明した。

萩原主査学芸員によると、古文書は金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵の「乙夜之書物」。加賀藩の兵学者関屋政春が、本能寺の変から87年後の江戸時代に記した。本能寺を襲った光秀軍を率いたとされる斎藤利三の三男で、自らも従軍した利宗が、加賀藩士のおいに語った証言として「光秀ハ鳥羽ニヒカエタリ」と記されていた。

古文書には光秀軍の兵士たちが京都市の桂川の河原で夜中に休憩を取っていた際に、本能寺へ向かうことを初めて告げられたことや、襲撃された信長が乱れ髪で白い帷子を着て光秀軍を迎え撃った様子の記述もあった。

萩原主査学芸員は「事件に参加し重要情報に触れる立場の人物の話で、後世の加筆の跡も見られないため、信頼性は高いと考えられる」と指摘。本能寺にいた信長側の家臣は数が少なく、光秀の本隊が出向く必要はなかったと分析した。研究をまとめた論文を近く発表する。

・・・これまでも、明智軍1万3000の全軍が京都の町中に展開できるはずもなく、本能寺を囲んだのは斎藤利三率いる兵力3000程度の攻撃実行部隊との合理的な推測はあった。ので、その推測を裏付ける可能性のある史料の記述が見いだされたことになる。

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2021年1月 4日 (月)

年末年始はベビーメタル

大みそかの紅白歌合戦は、とりあえず「鬼滅の刃」主題歌を聞けばいいと思って見ていたら、ベビーメタルが紅白初出場!で「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を歌っていたものだから、「おおっ」という感じがした。

ベビーメタルはもう6年も前、2014年末のNHK特集番組が印象深かったけど、特に追っかけてたわけでもなく、個人的には「久しぶり」という感じもしたが、とにかく紅白初出場良かったねと思った。

で、ベビーメタルのライブを何か見たくなって、アマゾンにライブDVDを注文(一番安かった「ライブ・アット・ウェンブリー」)。2日後には届いたので、すぐに鑑賞。もう5年近く前のライブだけど、観客の放出する熱量は圧倒的だし、とにかくショーとして完成されているなあという印象。

さらに1月3日夜のNHK音楽番組「ソングスオブ東京フェスティバル」にもベビーメタルが出演したので見た。「PA PA YA!!」という歌を披露していた。何か昔のモーニング娘。の歌で似たような曲があったような気がした(笑)。ということで、なぜかこの年末年始はベビーメタルばかり見たのだった。(苦笑)

スーメタルさんは歌も上手いし実にカッコイイ。しかし6年前も思ったことだけど、メンバーが成長していくと「ベビーメタル」という看板でやっていけるんだろうか。結成10周年だそうだけど、激しいダンスができるのも若いうちだろうし、この先ユニット名はそのままにメンバー全員が入れ替わることもありうるような。あるいはユニット名を「カワイイメタル」にでもするか。

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2021年1月 3日 (日)

2021年株式相場の見通し

「日経ヴェリタス」1月3日号、新年最初の特集は、もちろん2021年株式相場の見通し。専門家69人のアンケート回答から今年の日本株相場を占うというもので、以下はメモと感想。

まず今年のテーマは「コロナからの回復」。日経平均の高値安値及び時期の最多予想は、高値が12月の3万~3万1000円、安値は1月の2万5000~2万6000円。株価上昇予想の大前提は、コロナの影響後退に伴う経済活動正常化による企業業績の回復期待、そして金融緩和や財政出動など政策面の支援が引き続き見込めること。リスクとしては、コロナ変異種の感染拡大や、景気急拡大が金利上昇を招く可能性。為替相場はドルが売られやすい地合い。ただし円高と日本株安の連動性は、一時よりも低下しているという。

以上から、日経平均3万円に向けた上昇相場が基本シナリオ。とはいえ、今年の干支である丑年の相場格言は「つまずく」とされる。最近の丑年は、2009年は日経平均のバブル後最安値(7054円)、1997年は山一証券自主廃業ということで、何だか波乱含みの気配もある。

このほか記事は、「景気が回復するにもかかわらず緩和的な金融政策が維持される『いいとこ取り』を見込む声が多い」ことや、「株価予想の根底には『金融緩和の継続でPER(株価収益率)などのバリュエーションが高い状態を維持したまま、業績が回復する』との見立てがある」ことも伝えている。

確かに、低金利環境持続と企業業績回復が共存する(「コロナ・ゴルディロックス」と呼ぶ人もいる)相場に発展する可能性はあるのかもしれないが、一方でコロナと金利の動向という結構微妙なバランスの上に、株式相場は乗っかっているともいえる。また、現状の株価水準からは企業業績の回復期待が強すぎる感もあるため、今後バリュエーションが頭打ちになる可能性もある。つまり実際に企業業績が回復しても、いわゆる材料出尽くし感から株価が上昇しない可能性も、もちろんある。さらに株価の変動幅を考えると、昨年の日経平均は高値と安値の間で1万円以上動いた。つまり上昇にも下降にも相当なエネルギーを使った相場だっただけに、今年は逆に相場変動が小さくなる可能性はある。日経平均3万円とは言っても、現状の株価水準から1割程度の上昇に止まるとも言えるし、今年の相場は基本的に強いとしても、派手な上値追いは期待しない方が良いのだろう。

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