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2020年12月10日 (木)

ステークホルダー資本主義

米地域社会や従業員など全ての利害関係者に配慮する「ステークホルダー資本主義」が、世界的な潮流になりつつあるという。本日付日経新聞経済面掲載の、マーティン・リプトン弁護士のインタビュー記事から以下にメモする。(企業法務の大家であるリプトン氏は長年、「短期的な株主利益の追求(株主第一主義)」からの脱却を訴えてきた)

米経営者団体『ビジネス・ラウンドテーブル』が2019年8月に株主第一主義からステークホルダー資本主義に転換した。短期的な利益の追求が格差や社会不安を生んだ。あらゆるステークホルダーの利益に配慮した経営が資本主義を守る、との認識が広がり、実際の行動につながっている。

私が考えるステークホルダー資本主義とは、個々の利害関係者を等しく扱うのではなく、株主価値の最大化を目指すなかで、従業員や顧客、取引先、環境、地域社会に配慮する経営だ。企業と主要株主が合意して、持続可能な成長戦略を進める必要がある。

企業があらゆるステークホルダーに利益をもたらそうとする動きについては、政府は(情報開示ルールなど)基本的な指針を定めるだけにとどめ、実際の行動は当事者に委ねるべきだ。
ただステークホルダー主義のあらゆる側面を包含した開示基準を作るのは難しい。気候変動問題や人材の活用、経営者の報酬など個別事案ごとに企業の行動を見ていくべきだ。

・・・ステークホルダー資本主義は、株主を含む全てのステークホルダーを等しく扱うわけではない。企業経営の基本はあくまで、株主価値の最大化である。これが行き過ぎて様々な弊害を生んだのが、短期的な利益極大化を目指す株主第一主義。これに代わるものがステークホルダー資本主義及び企業経営ということで、そのコーポレート・ガバナンスは、あらゆるステークホルダーに配慮しつつ、中長期的な企業価値の向上を目指す。とはいうものの、そんなことができる企業は、いわば余裕のある企業なので、数もそんなに多くはないだろうな。

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