母の教えを守るということ
社会現象と化したアニメ映画「鬼滅の刃」。自分のようなただのおじさんから見れば、決して万人向けとはいえない内容の作品が、大ブームを巻き起こしているのは不可解な現実。とは言っても、このブームをあえてネガティブに見るつもりもない。
物語の設定は大正時代、主人公の少年剣士である竈門炭治郎が仲間たちと共に、凶悪な鬼たちに立ち向かう。映画の後半部分で主役となる煉獄杏寿郎は、最強の鬼狩り剣士の一人であり、理想の上司、先輩としても認知されて人気が高い。
最強クラスの鬼と死闘を繰り広げる煉獄さん。しかし壮絶な闘いの果てに瀕死の重傷を負ってしまう。その目の前に死んだ母の姿が現われる。
煉獄さんは幼い日に、母から「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です。責任を持って果たさなければならない使命なのです」と諭されていた。煉獄さんは母の姿に向かって問いかける。「母上。俺はちゃんとやれただろうか。やるべきこと果たすべきことを全うできましたか?」
その問いかけに対し、静かに微笑み「立派にできましたよ」と答える母の姿。その言葉を聞いて満足したかのように、煉獄さんの顔にも穏やかな笑みが浮かぶ。(原作単行本第8巻)
思うに、母の教えを守って生きられたかどうかは、男にとって最大のテーマの一つではなかろうか。自分は、煉獄さんみたいに強くもないし、人から頼られる人でもないけど、この場面にはしみじみ感じるものがあった。結局、男(の子)は、いつまでも母から褒められていたいのだと思う。
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