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2020年3月14日 (土)

気分は「独ソ戦」?

マンガ『戦争は女の顔をしていない』(小梅けいと・画)を初めて見たのは、栄の地下にあるジュンク堂書店だった。レジ近くの台に(ということはオススメ本なんだろう)、原作の岩波文庫(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ・著)と共に置かれていた。その後、週刊東洋経済の紹介記事を見て、著者がノーベル文学賞を受けたジャーナリストで、本の内容は独ソ戦に従軍したロシア人女性500人以上の体験記であることを知り、とりあえず買って読むことにした。

まず驚かされるのは、ソ連では多くの女性が前線に出ていたこと。職務も様々で看護婦、衛生指導員から、狙撃兵、砲兵、飛行士などの戦士、さらには後方支援の洗濯部隊なんてのもある。戦争の体験記ではあるのだが、戦争のむごい有り様があれこれ語られるというよりは、戦争という日常を生きた女性たちのエピソードが淡々と並べられていく。中でも自分が一番強く印象に残ったのは、恐ろしく勇敢な衛生指導員の女性。スターリングラードの戦いの最中、雪に覆われた戦場で彼女は、味方陣地と敵陣の間に取り残された負傷兵を助けに行く。両手を挙げて大きな声で歌を唄いながら、敵の前方へと進んでいく彼女。その決死の行動に気圧されたのか、静まりかえる両軍陣地。彼女は負傷兵のもとにたどり着き、彼をそりに乗せると、今度は敵に背を向け、そりを引きながら味方陣地へと戻っていく。歌を唄い続けながら彼女は覚悟を決めている。「今・・・ 今やられる・・・・・・ 今が最期の瞬間なんだわ 今! 痛いんだろうか? ああ、おかあさん!」。しかし銃声は響くことなく、彼女は無事生還した。この女性は481人の負傷兵を戦場から救い出したという。この並外れた勇気、そして強烈な使命感はどこから来たのだろう?

このマンガを読んだ後、売れてるらしい『独ソ戦』(大木毅・著、岩波新書)も読んだ。ソ連軍というと物量でドイツに勝った、というイメージだが、実際には用兵思想でもソ連が優れていたとか。そうだとするとドイツ軍好きの自分には、ちょっとがっかりする感じもある。

自分はプラモデル少年で昔、タミヤの戦車模型はよく作ったから、独ソ戦のハイライトといえば、ロシアの大平原でタイガー戦車とT34戦車が対決するクルスク大戦車戦になる。昔のソ連映画「ヨーロッパの解放」で再現されていたクルスク、ドニエプル渡河作戦、バグラチオン作戦、ベルリン市街戦のイメージも強い。だから、割と独ソ戦には馴染みがあったりする。岩波新書を買いた大木先生も自分と同世代なので、似たようなバックグラウンドがあるのかな、と思ったりする。

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