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2019年6月13日 (木)

「デフレ均衡」と「貨幣愛」

昨日12日付日経新聞記事「エコノミクストレンド」(執筆者は小林慶一郎・慶大客員教授)からメモする。

先進国、中でも日本は、緩和型の金融財政政策のもとでデフレが長期的に続く「デフレ均衡」に陥っているとみるべきだろう。

長期のデフレ均衡という現象を理解するためには、「人間の選好は不変」としてきた通常の経済学のモデルではなく、「人間の選好は可変的」という考え方に立つことが必要なのではないか。なんらかの環境変化で人間の効用関数が変わるなら、人間が過剰な「貨幣愛」を持つようになる可能性がある。貨幣愛とは、本稿では「貨幣や国債など金融資産を保有することから感じられる(根拠のない)効用」とする。これは一種の「バブル」あるいは幻想である。
人々が金融資産に価値を感じるのは、通常は将来の財・サービスの消費を可能にしてくれるからだ。しかし、例えば資産保有が社会的なステータスを表現するシグナルとなっている社会では、人々は金融資産の保有に社会的「価値」を感じる。
筆者が最近研究しているモデルは、人間は「自分の子孫が貨幣愛を持つ」という世代間の期待によって、自分自身も資産に過剰な価値を感じるようになるというものだ。

社会的ステータスや世代間の期待からバブル的な貨幣愛が生じると、資産(政府債務)が過剰に蓄積されてしまう。資産が増えても財・サービスの購入には使われず、無限に蓄積されてデフレが続く。こうして長期的なデフレ均衡が発生するわけだ。

・・・バブル崩壊以降、平成は基調的にデフレの時代だった。令和の時代になった今も、デフレ完全脱却とは言えない状況が続いている。「異次元」の金融緩和でも大きく動かせない、この経済的現実を、通常の経済理論で説明するのは容易ではないようだ。今、この世界で一体全体何が起きているのやら。

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