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2019年4月25日 (木)

哲学はロックなのである

哲学を語るコンサルタントとして知られる山口周氏。サイト「NewsPicks」4/16発信記事「ビジネスで武器になる哲学」から、氏の話を以下にメモする。

哲学者はロックンローラー。世の中に対して「それって違うんじゃない?」という批判的なまなざしを、常に提示し続けてきた人々です。

「自由はキツイですよ」と説いたのが、ドイツの哲学者フロムです。例えば、ナチスドイツで発生したファシズム。「自由」はもともと市民が頑張って手に入れた権利ですが、人々はそれに伴う孤独と重い責任に耐えられなくなり、こうした全体主義に傾倒するようになったと、フロムは言います。自由に耐え得る強い人とは、自分の力で考えることができる人です。自由になるとは「年収が高い方がいい」とか「学歴が高い方がいい」とか、こうあるべきという他の人の物差しからどんどん外れること。そんな中で、無規範に陥らずに、自分の規範でしっかり生きることができるのか。そういう強い人だけが、本当の意味で自由を謳歌することができるのです。

不良と優等生、世界を悪い方に導くのはどちらでしょうか。それは「無批判な優等生」と答えたのが、哲学者のハンナ・アーレントです。彼女はナチスドイツでユダヤ人虐殺計画において、大きな役割を果たしたアドルフ・アイヒマンについて本にまとめています。彼はナチス党で出世するために自分の任務を一生懸命こなした結果、恐ろしい犯罪を犯すに至った。つまり、悪とは「システムを無批判に受け入れること」なのだと、アーレントは分析しています。

人間には、アイデンティティに偏執するパラノ(パラノイア)型と、直感の赴くまま柔軟に生きるスキゾ型がいる。そう考えたのが、フランスの哲学者ドゥルーズです。パラノ型は時代や環境の変化に弱い。それに対して、スキゾ型はしなやかに時代の変化に対応していけます。ここはやばそうだと直感的に感じたら、さっさと逃げる。物事が目まぐるしく変化する現代では、逃げる勇気を持ったスキゾ型の生き方こそが必要となってくると思います。

「無批判な優等生が世界を悪くする」というお話をしましたが、哲学者は「真面目な不良」だと言えます。おかしなルールには従わないけれど、人が幸せに生きるということにかけては真面目な人々なのです。ビジネスの世界で活躍しながらも、優等生にならず「不良の魂」は失わない。そんなしなやかな精神が、今後はさらに求められてゆくでしょう。

・・・自分にとっては「スキゾ」と「パラノ」といえば浅田彰なんだよなあ。「逃走論」という本もあったっけ。とりあえず社会システムに従いつつも、時に批判し、逃げるというやり方で反抗する。自分の規範を持って反抗する、それが哲学すなわちロック、だと思う。

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