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2018年7月 1日 (日)

映画「ゲッベルスと私」

昔、大学生の時、ゲッベルスで卒論書きたいなと思ったことがあった。「ゲッベルスとナチスの宣伝戦略」と、タイトルだけは決めていた(笑)。しかし結局卒論はニーチェで書いた。まあニーチェなら参考にする論文はたくさんあるし、書きやすい方で書いたという感じだ。今から思うと、ゲッベルスで卒論を書くのは現実には難しかっただろうな。

最近自分は病気で左足に後遺症が残った。足が悪くなってみると、ゲッベルスやルーズベルトの偉さがよく分かった。身体障害者でも国のトップリーダーを務めたのだから、凄いと思う。

さて、久しぶりに今池の名古屋シネマテークに足を運んだ。「ゲッベルスと私」を観るためである。この映画は、東京では岩波ホールでやっている。岩波ホールだと、いかにも文化的な観るべき映画という感じになるが、雑居ビルの中にある試写室のようなシネマテークで観ると、関心のある人向けというマイナー感が強まるように思う。まあどっちがいいって話でもないけど。

映画の内容は予想を大きく超えるものではない。ゲッベルスの元秘書のポムゼルさん(撮影時103歳)がナチス時代のドイツを語る。当時のアーカイブ・フィルムも挿入しながら、証言が淡々と続く。プログラムも参照しながら、いくつか以下にメモする。

・当時の体制から逃れることは絶対にできない。体制に逆らうには命がけで、最悪のことを覚悟する必要がある。
・当時は国中がガラスのドームに閉じ込められたようだった。私たち自身が巨大な強制収容所の中にいた。
・「白バラ」運動の裁判記録を取り扱ったことがある。黙っていれば、ショル兄妹は今も生きていたのに。反戦ビラをまいたから、残酷にもギロチンで処刑された。
・神は存在しない。悪魔は存在する。正義は存在しない。正義なんてものはない。
・私に罪があったとは思わない。ただし、ドイツ国民全体に罪があるとするなら話は別。

人は誰でも時代の制約の中で生きている。過去の歴史を生きた人々が、その時代の制約の中を生きてきたように、現在を生きる我々もまた、おそらく時代の制約の中に生きている。そして、その制約の正体は、ある程度時が過ぎてからでしか見えてこないのだろう。現代の視点から過去を断罪することに、どれ程の意味があるのかと思う。ましてや我々日本人もまた、20世紀前半にはドイツ人と同じような状況にあったのだから。

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