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2016年12月25日 (日)

16世紀という「画期」

歴史家のブローデルと社会学者のウォーラーステイン、二人の学説にとって16世紀は画期的な時代である。以下に『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅱ』(出口治明・著、祥伝社)からメモ。
 
最初にブローデル。彼は歴史という大河を「長波」、「中波」、「短波」の三層構造で捉えました。歴史の表層に登場する個人やさまざまな出来事がありますが、これを「短波」と考えました。次にもう少しゆっくり変化していくもの、たとえば王朝の興亡や長期にわたる戦争、宗教の発展やイデオロギーがらみの紛争などを「中波」と呼びました。それらの「短波」や「中波」の深層にある人為的に変えることが難しいもの、自然環境や地理的条件や気候、さらには人間の日常生活を精神的に支えている死生観や人情のように非常にゆっくりした変化しか起こさないものを「長波」と呼びました。
 
ブローデルは、歴史は「中波」と「短波」が重なり合って、さまざまな変化を生み出すように見えるけれども、時代が大きく変化していくときには、その深層にある「長波」の動きがあることを忘れてはならないと指摘しています。
ブローデルはそのような歴史観に立って、大著『フェリペ二世時代の地中海と地中海世界』を執筆しました。
 
次に社会学者であるウォーラーステインは「世界システム」という、世界を一体的に捉える概念を提唱しました。
彼はまず、「世界帝国」と「世界経済」を区別します。世界帝国とは、たとえば地中海世界やイスラム世界のように、一定の領域内に言語の異なる複数民族が暮らしている地域的なまとまりのことです。
さらにウォーラーステインは、世界経済という概念を提唱し、以下のように定義しました。それは「資本主義によって結ばれている世界である」と。資本主義や世界経済と言いましたが、それは交易や分業を中心とする、経済的な結びつきによって成立している世界の意味です。
このような経済的関係によって構成される地域の結びつきを、ウォーラーステインは、世界システムと呼びました。世界システムは、世界を中央・半周辺・周辺と区分し、それらの分業体制によって世界が成立しているという概念であり、このような世界的な分業システムが、より強固になった16世紀以降をウォーラーステインは、「近代世界システム」と呼んでいます。
 
世界史を短波・中波・長波という3つの異なる時間軸の合成として見つめ直すこと。また世界は中央・半周辺・周辺という分業システムで動いていると一体的に捉えること。ブローデルとウォーラーステインがともに16世紀を中心に自らの学説を展開したのは、16世紀が時代を画する世紀であったからに他なりません。
 
・・・世界は激動している。というのが挨拶代わりのような現代。はたして16世紀と同様、歴史の転換期なのか。とはいえ「近代世界システム」に大きな揺らぎはないように見える。では「長波」の動きはどうか――といっても「長波」の動きなんか分からんよなあ。

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