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2016年5月27日 (金)

トルーマン、軽すぎる大統領

アメリカ軍指導者の多くが原爆の使用を否定的に見る中、トルーマン大統領の判断は、まず原爆投下ありき、だったようだ。『オリバー・ストーンの告発 語られなかったアメリカ史』(『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』の青少年向けリライト版、あすなろ書房)の第2巻からメモ。

統領トルーマン、国務長官バーンズ、マンハッタン計画責任者グローヴスの三人が、原爆の実戦使用に躊躇していたことを示す記録はない。
しかし、陸軍長官ヘンリー・スティムソンは違った。原爆は単なる新兵器ではなく「われわれ全員を食らうフランケンシュタインのような怪物」と考えていたのだ。

大半のアメリカ人は、軍の最高指導者の多くが、原爆投下は軍事的に不要だった、あるいは人道にもとるものだと考えていたことを知らされていなかった。

第二次世界大戦中に、大将より上位の〝元帥〟へ昇進した五つ星将官七人のうち、最先任ジョージ・マーシャルをのぞく、陸軍大将マッカーサー、アイゼンハワー、アーノルド、海軍大将リーヒ、キング、ニミッツの六人が、戦争終結には原爆が必要である、という考えに反対していたのだ。

アイゼンハワーはこう述べている。「スティムソンから意見を求められて、私は二つの理由で原爆使用には反対だと答えた。第一に、日本は降伏する気なのだから、そのように破壊的な兵器で攻撃する必要はなかったからだ。第二に、わが国が、核兵器を使用する最初の国になるのを見たくない、と感じたからである」

マッカーサーは、原爆を「軍事的にはまったくの不要物」と考えており、政府がそれを使用する意向だと知るや、怒ると同時に失望した。

リーヒは述べた。「広島と長崎での残忍な兵器使用は、対日戦争において、なんら実質的な貢献となっていない。戦争であのような手段を使ってもよい、と教えられたことはない。戦争とは、婦女子を殺傷して勝利すべきものではないのだ」

歴史家の多くもまた、広島や長崎を灰燼に帰す必要はなかったという、元帥たちの見解に賛同している。
ところが、日本本土上陸によって多数のアメリカ兵が命を失うことなく、戦争を終結させられたのは原爆のおかげであるという〝神話〟が、トルーマンやスティムソンらによって広められた。

トルーマンは、原爆投下について良心が痛んだことはない、と主張しつづけ、「そのことを考えて眠れなかったことは一度もない」と自慢げに言い放った。
あるテレビ番組でトルーマンは「(後悔したことは)ないよ、全然。ほんのちょっぴりだってね」と答えた。「すぐに決められたよ。ほーら、こんなふうに・・・・・・」と言って、得意げに指をパチンと鳴らしてみせた。

・・・歴史のイフは考えても無益なのかも知れないが、日本人である自分の心の中から、トルーマンでなければなあ、という思いが消えることはないだろう。しかし今日、遂にアメリカ大統領が広島を訪問した。原爆投下から71年、ようやくという思いがある一方、これだけの時間が必要だったのだろうと了解したいし、何よりオバマ大統領だからこそ実現したという感は強い。

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