オカルトの巨匠たちの思い
雑誌「昭和40年男」6月号の特集は「オカルトブーム再検証」。いつもはこの雑誌は本屋でぱらぱら見ておしまい。だったのだが、特集の内容がなかなか濃い感じだったので、初めて買って読んだ次第。今年初めに『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)という本も出ていたが、やっぱり雑誌はカラーだし写真だ図版だと賑やかでよろしい。で、その特集の中からインタビュー記事をメモ。まずは五島勉氏。言わずと知れた『ノストラダムスの大予言』著者。昭和4年(1929)生まれ。
「まさかあんな大騒ぎになるとは私も版元も思っていませんでした。私としては、あの本をノンフィクションのミステリーとして書いたつもりでした」
「(あの本では)恐怖と絶望を提示して、終章では希望を語っています。ハラハラさせて、最後は意外な形で逆転させる。これはミステリーの構造です。しかし、結論の希望については誰もまともに読まなかった」
「努力すれば終末は回避できる。だからみんなで未来を考えよう、というのが私の結論だった」
・・・結論部分の「希望」?全然覚えてない(苦笑)。たぶん「希望」については、そんなに具体的なことは語っていなかったと思うけど。
次に「UFOディレクター」矢追純一氏。昭和10年(1935)生まれ。
「皆さん、もっと知りたいと思っている反面、いざ、UFOや幽霊を見たらあれは夢だったと思いたいんです。現代人はほとんどが、現代科学という宗教のメンバーですからね。狭い常識のなかになるべく自分を閉じ込めようとするんです」
「だから僕はオカルトと呼ばれるものばかりを取り上げて、情報提供している。この宇宙には、現代科学で解明できないことの方がはるかに多い。それに気づくことによって、自分の狭い思い込みを外していくことができるんじゃないかと」
「結局、オカルトというのは、自分を知るということ。問題なのはオカルティックな事実でなく、自分がそれを理解できていないという状況そのものなんです」
・・・この二人に中岡俊哉氏(故人)を加えると、「昭和34年男」である自分にも、あの時代の記憶がじわ~っと立ちのぼってくる。UFO、超能力、心霊現象、未知の生物、大予言などなど、確かに70年代のオカルト・ブームは恐ろしくパワフルだった。オカルトというと、科学と対立するイメージもあるけれど、今から思うと、世の中に科学万能主義が概ね行き渡る一方、何とな~く科学の限界も意識されてきたところに、爆発的なブームがやって来た。そんな感じだ。
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