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2016年1月13日 (水)

「世界資本主義」と歴史の反復

ヘゲモニー国家不在の中、世界戦争が勃発する?――『パリ同時テロ事件を考える』(白水社)所収の座談会「テロと戦争の時代を生きる」、柄谷行人の発言からメモする。

私は(歴史的段階の)循環的な側面に注目します。それを示すのが、「世界資本主義の段階」です。60年周期で、帝国主義的な段階と自由主義的な段階が交互に来ている。ただし、ここで使っている「帝国主義」「自由主義」という言葉は、一般に使われている意味とは違います。ここで「自由主義的」というのは、ヘゲモニー国家が存在する状態を意味しています。1810年から1870年のイギリス、1930年から1990年のアメリカがそうです。1750年以前のオランダもそうでした。「自由主義的」というのは、このヘゲモニー国家の経済政策のことなんです。

一方、「帝国主義的」というのは、ヘゲモニー国家が存在していない状態です。そして、次のヘゲモニーを得るために主要国家が争いあう。だから世界戦争が起こる。たとえば、1750年から1810年が帝国主義的段階ですが、その最後に世界戦争があった。それがナポレオン戦争です。このあと、イギリスはヘゲモニーを確立しました。それが自由主義的段階です。19世紀末にイギリスが没落するにつれて、帝国主義的段階になった。それが一般に使われている意味での帝国主義の時代ですね。その最後に起こったのが第一次大戦で、その後にアメリカがヘゲモニーを確立した。そして、自由主義的段階に移行した。つぎに、1980年ぐらいにアメリカの没落とともに、再び帝国主義的段階に移った。そのように、一つの段階はおおよそ60年続き、120年で一回りします。したがって、似たような様相が出てきます。

1917年にロシア革命が起こって、1920年に国際連盟ができた。これは、第一次世界大戦の最中、および、その後に起こった出来事です。まさに前の帝国主義の終わり頃に起こったんですね。通常、この二つはまったく異なることだと考えられています。一方は、マルクス、他方はカントによるものだから。しかし、カントは市民革命は一国だけではできないから、諸国家連合が必要だと考えた人だし、マルクスも社会主義革命は「世界同時革命」でしかありえないと考えていた。つまり、永遠平和と社会革命は切り離せないものです。第一次大戦の後では、この二つが別々に起こった。だから、両方とも駄目になったのです。
現在の「帝国主義的」状況から、世界戦争が起こった場合、その戦争のあとには、革命と国連という問題が再び出てきます。その意味で、歴史の反復性を考えておく必要があります。

・・・「帝国主義」と「自由主義」のトレンドが交互に現れる「世界資本主義」のサイクル――歴史の反復とは、相場のトレンドとサイクルにも通じる考え方だなあ。と、証券会社社員であるワタシは思う(苦笑)。それはそれとして、カントとマルクス、永遠平和に世界同時革命と、柄谷節全開のお話。ですな。

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