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2015年12月19日 (土)

異次元緩和そろそろ限界?

昨日18日、日銀の政策決定会合で表明された金融緩和「補完策」を巡って、日経平均株価は乱高下。追加緩和への期待と懐疑が交錯した。改めて「異次元緩和」のおさらいということで、『「名目GDPって何?」という人のための経済指標の教科書』(小宮一慶・著、PHPビジネス新書)からメモしてみる。

2013年4月4日の日本銀行(以下、日銀)の政策決定会合で「マネタリーベースを2年間で2倍にする」と決定しました。「マネタリーベース」とは、「日銀券」と「日銀当座預金」の合計で、日銀が直接コントロールできる資金量のことです。日銀券は紙幣で、日銀当座預金は各民間金融機関が日銀に置いている当座預金の残高です。

当時、日銀券が約85兆円、日銀当座預金の残高が約50兆円、合計135兆円のマネタリーベースがありました。これを15年3月までに270兆円にすると発表したのです。
しかも、2014年10月31日には、「マネタリーベースを無期限で毎年80兆円増やす」という、さらなる金融緩和が発表されました。

日銀当座預金の残高は、2015年10月時点では240兆円まで増加しています。
なんでこんなことが可能だったのか。実は、やり方はいたって簡単で、民間金融機関から国債を買い取り、その代金を当座預金口座に払うだけというシンプルなものです。
ここで絶対に理解しておかないといけないのは、原資はないのです。どこからもお金を持ってくる必要はなく、買った国債分の金額を各民間金融機関の口座に記帳すればいいだけなのです。
日銀は、打ち出の小槌を振って国債を大量に買っているわけですが、何らかのきっかけで国債価格が下落すれば、日銀は非常に大きな含み損を抱えることになります。

日銀は白川方明前総裁のときまでは、「日銀券ルール」を厳格に守っていました。これは、「日銀が保有する国債の量は、発行している日銀券(通貨)の残高を超えてはいけない」というルールです。
しかし、アベノミクスの異次元緩和を敢行した黒田東彦総裁は、この日銀券ルールなどなかったかのように、2015年3月時点で、日銀券発行残高約90兆円に対して、約270兆円もの国債を保有しました。実はつぎのルールも無視しています。
そのルールは、「残存期間が3年未満の国債しか保有しない」というもので、このルールも守られなくなり、残存期間が10年を超える国債まで保有するようになりました。日銀の抱えるリスクは増大しているのです。

もう一つ付け加えると、これはリスク増大とは必ずしも関係ありませんが、これまで厳格に守られてきた「民間金融機関が1年以上保有した国債しか買わない」というルールも無視されています。異次元緩和のために市場から国債を買い漁っているため、発行からたった1日、民間金融機関に保有させた国債も買っているのです。

異次元緩和によって、景気は良くなりましたが、所詮カンフル剤のようなもので、日本経済の実力が上がったわけではありません。どこかでこの効果が切れることと、今後、大量の国債をどう市場に戻していくかという「出口戦略」をどうするかに注意が必要です。

・・・異次元緩和とは掟破りの緩和である。と思うと何だか空恐ろしい感じもしてくる。アメリカはFRBの9年半ぶりの利上げにより、ようやく金融正常化への第一歩を踏み出した。日本の金融市場が異次元の世界から戻ってくるのはいつのことになるのやら。

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