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2015年11月15日 (日)

フェデリーコ2世の合理主義

世界史の造詣が深い経営者として知られる出口治明氏が、新著『世界史の10人』(文藝春秋)の中で、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(フェデリーコ2世、1194~1250)を取り上げている。以下に一部をメモする。

フェデリーコは鷹狩りを趣味とし、鷹狩りをテーマにした『鷹狩の書』という著書もあります。作家の塩野七生氏は、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(新潮社)で、『鷹狩の書』と、レオナルド・ダ・ヴィンチが書いた『絵画論』を対比させて、フェデリーコがダ・ヴィンチより二百年以上も前に、生物や自然に対する客観的な観察眼をもって論理的な文章を書いていたこと、そして二人の自然に対する精神はまったく同じものであったと示しています。

スイスの歴史家ヤーコプ・ブルクハルトは、フェデリーコを「王座上の最初の近代人」と評していますが、合理的に考え、宗教を相対化できるその知性は、今の時代にも十分通用するものです。

フェデリーコは、東ローマ帝国の皇帝に自分の庶子を嫁がせたりもしている。東方教会も彼の中ではいくつもの宗教のひとつにしかすぎなかったのでしょう。アラブ人のアル・カーミルと外交交渉によってエルサレムに平和を取り戻しているほどですから、彼にとっては、イスラム教もローマ教会も東方教会も等価だったのです。これこそが、近代合理性というものでしょう。中世の年代記にフェデリーコが「世界の驚異」と形容されたのも、うなずけるというものです。

・・・出口氏は、フェデリーコは「生まれてくるのが二百年、三百年早すぎた」と記す。確かにフェデリーコの死後300年経っても、ヨーロッパでは宗教戦争や魔女狩りの嵐が吹き荒れていたことを思えば、脱宗教の君主フェデリーコは、中世に生まれた「近代人」と呼んでも誇張ではない、時代を超越した誠に驚異的な人物であったのだという、殆ど畏敬の念に近い感動を覚える。

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