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2015年5月30日 (土)

鈴木商店は近代日本産業の源

鈴木商店というと、昭和恐慌の時に倒産した会社だよね、歴史の教科書に載ってた、という感じくらいしかないが、先日、鈴木商店を取り上げた毎日新聞記事(5/27配信)を見て、そういや最近日経新聞にも記事があったなと思い出したのでメモする(2/20付文化面記事「伝説の商社の残光を追う」小林正幸・双日総合研究所主任研究員)。

07年、双日の秘書部に配属されたのが、鈴木商店に興味を持ったきっかけだ。ニチメンと日商岩井が合併して双日となり、攻めの経営に転じようという時期で、重要な法人顧客のリストを作る仕事を任された。その顧客の多くが、かつて存在した鈴木商店を源流としていることにまず驚いた。神戸製鋼所、帝人、太陽鉱工、日本製粉などだ。双日も前身の日商岩井のさらに前進の日商が鈴木商店を引き継いでいた。

調べてみると、製造業を中心にいくつも会社を興し、買収していったのが鈴木商店だと分かった。金融業が中心の他の財閥と異なり、もの作り大国の礎を築いた財閥なのだ。製糖、樟脳、紡績、鉄鋼、造船と、日本経済の推進力となるメーカーを擁した。ただ、有力な系列銀行を持たず、台湾銀行からの融資に頼りすぎたことが、後の金融恐慌時に命取りとなった。

09年に北九州市の大里を訪れたのは印象深い。製粉や酒精の工場があった地区だ。13年には北九州市門司麦酒煉瓦館を訪ね、館長さんから大里の建築とその歴史について詳しく聞いた。兵庫県相生市には素晴らしい旧社宅街がある。

鈴木商店は私を魅了し続ける。史跡の一つでも訪ねてほしい。近代日本の壮大なロマンに胸を打たれるはずだ。

・・・昨年、小林氏によるウェブサイト「鈴木商店記念館」開設以来、一般の関心も高まりつつあるようで、昨日29日には都内でシンポジウムも開かれたとのこと。富岡製糸場に続く、軍艦島等の世界遺産登録により、近代産業遺産に一段と注目が集まる中、近代日本産業のプロデューサーともいえる鈴木商店を再評価する声も一層高まりそうだ。

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