« 相場に左右されない人生 | トップページ | ふしぎなイスラム教 »

2015年4月 3日 (金)

イスラームの歴史

今週の「週刊東洋経済」(4/4号)の特集は「世界史&宗教」。最近は経済誌でしばしば歴史や宗教の特集が組まれるのも御時世というか。イスラームの歴史について、東長靖・京都大学教授の寄稿からメモする。

神と人との間の関係を表す縦軸と、人と人との間の横軸を合わせたものが、イスラーム共同体(ウンマ)といわれるものだ。イスラームの本来の理想は政教一致の世界であり、縦軸と横軸が混然一体となっている。

イスラームの誕生から現在に至る1400年ほどの歴史は、三つの時期に分けて考えるとわかりやすい。第1期はイスラームの勃興から、たとえ名目的であってもウンマの長であったカリフが殺害され、アッバース朝が崩壊するまでである。これを古典期と呼ぶ。

キリスト教の法王があくまで宗教的な指導者であるのと異なり、カリフは宗教的な指導者と政治的な指導者を兼ねている。ただ本当にカリフに力があったのは最初の300年程度にすぎない。その後はカリフに代わって軍事指導者(スルターン)が実権を握る。ちょうど日本の戦国時代の天皇と武家の関係と同じで、カリフは権威を維持したが、象徴的な意味しか持てない時代になった。

古典期の終わりを告げるのは、モンゴルの侵入である。これによって1258年にアッバース朝が倒れた。ただこの侵略は、イスラーム世界の東半分にとどまり、モンゴル自体がイスラームに改宗したため、文化的には逆にモンゴルを征服した。
中世のイスラームは、世界の最先進地域として栄えることになる。この時代にイスラームは東南アジアやアフリカなどに領土を広げ、オスマン帝国は16~17世紀に二度ウィーン包囲を行い、今のイランにサファビー朝、インドにムガル帝国が君臨した。

欧州が力をつけ、こうした状況が引っ繰り返されたのが近代である。政治史的には1798年のナポレオンのエジプト征服がイスラームの近代の始まりとなる。これ以降、オセロのようにイスラームのほぼ全域が欧州列強によって植民地化されていく。

近代のイスラームは植民地支配されつつ、「国民国家」化も進む。
近代のイスラームの方向性は大きく二つに分かれる。一つは西洋近代化や世俗化を進めようという動き。もう一つは、イスラームそのものを復興させようというものだ。

イスラーム世界の人々は今後、どのような社会を目指そうとしているのか。それは民主的な世俗政体からイスラーム復興に基づく社会まで、幅が広いと考えたほうがいい。

・・・「アラブの春」の後にやって来たのが「イスラム国」というのも何だかなぁという感じだが、イスラームの理想は政教一致、というのがイスラームの近代化あるいは民主化のネックになっているんだろうな。

|

« 相場に左右されない人生 | トップページ | ふしぎなイスラム教 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/174032/59463666

この記事へのトラックバック一覧です: イスラームの歴史:

« 相場に左右されない人生 | トップページ | ふしぎなイスラム教 »