寺尾「家康」は語る
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に徳川家康役で出演中の寺尾聰。ドラマのHPにアップされたインタビューの中で、「家康に対するみなさんのイメージや期待をある意味、裏切りながら、自分のなかにある家康像を表現していきたい」と語る。以下にメモ。
みんな、徳川家康といえば“タヌキ親父”だと言う。若いころにもぼくは家康を演じたことがあって(1973年・大河ドラマ『国盗り物語』)、家康は当時いた武将のなかで唯一、何百年も続く時代の礎をつくった男。信長や秀吉のやり方をじっくり見て、いろいろなものを自分のなかに蓄え、ここぞというときに一気に動き、新しい時代をつくった。そういうことができるのは、タヌキではなくオオカミだと。“タヌキの皮をかぶったオオカミ”だったのではないかと。
あれから何十年もたちましたが、ぼくの家康に対するイメージは、あのころと変わっていません。信長や秀吉が有言実行の人なら、家康は寡黙でじっくり状況を見据えて、一瞬の隙をついて獲物に飛びかかるような人だと思う。そういう感じで今回の家康像をつくらせてもらっています。
ぼくは自分のなかで、家康には表に見せる顔と、自分のなかにある裏の顔があると思っていて、それを自分で絶えず意識するために今回は、裏の顔の象徴として右目を少し閉じて、何か企んでいるように見せたいと思いました。
・・・あの右目の瞼が垂れ下がっている感じはわざとだったのか。役作りといえば、もう5年も前、「天地人」で松方弘樹が演じた家康は、頭のてっぺんに小さなコブを作っていたのが目を引いた。この松方・家康も「敵役」としては結構面白い人物像になっていた。家康は基本的に地味な感じがあるので、逆に役者さんには工夫のしがいもあるのかと。まあ個人的には家康といえば津川雅彦。あのギョロ目だけで家康だと思っちゃう。
寺尾聰が若き家康を演じた「国盗り物語」は、自分の中では戦国ドラマのスタンダード。新しいドラマを見る時も、ついつい頭の中で「国盗り物語」と比較してしまう。
大河ドラマで41年ぶりに寺尾・家康が登場した今年、「国盗り物語」に出演した林隆三、米倉斉加年が世を去った。時の流れを感じるばかりだ。
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