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2014年8月30日 (土)

トレルチ!

先日、丸の内の丸善で、岩波文庫の重版本が並べられていた中に『ルネサンスと宗教改革』を見つけた時は、「へぇ~」って感じがした。品切れのまま放置される本かも、と何となく思っていたので。とにかく13年ぶりの重版出来なのだった。

この本を書いたトレルチという思想家を自分が知ったのは、ごく最近。昨年正月の朝日カルチャーセンター、佐藤優の話の中でその名を初めて聞いた時、トレルチってコマネチ!みたいだなと思った。(くだらねー)・・・で、その佐藤優の新著『「知」の読書術』(集英社インターナショナル)の中にも、トレルチのことが取り上げられているのでメモ。

トレルチは、ルネサンスも宗教改革も、近代の決定的な転機だとは捉えていないのです。

ルネサンスには、たしかに中世の教会倫理に疑問を突きつけ、自由な人間性を称揚するという側面がありました。ただ、それは貴族階級を中心としたごく一部の出来事であり、トレルチは、ルネサンスと比べると宗教改革の意義を積極的に評価しています。「宗教改革は一個の強力な宗教的、道徳的活動として国民の生活の全体に革新をおよぼしたという点で、およそルネサンスにはみることの出来ない独自の積極的な諸力をもっている」と述べていることからも、そのことはあきらかです。
しかし当初のプロテスタンティズムはカトリックと同様に、国家は宗教によって規定されるということを堅持していたのです。
 

ルネサンスも宗教改革も中世的性格を色濃く残すものであり、本当の意味での近代の出発点にはなりえません。トレルチは次のように述べています。 

むしろ新しい世界の出発点は、およそ教会的に拘束せられたものをいっさい追放したという点に存する。しかもこのことは、ドイツ、オーストリア、フランス、オランダ、イギリスを舞台に縦横に暴れまわった大宗教戦争の成果なのである。(『ルネサンスと宗教改革』) 

すなわちトレルチは、「三十年戦争」を終結させた1648年の「ウェストファリア条約」こそ、近代の出発点と位置づけているのです。 

トレルチの議論のポイントは、「ウェストファリア条約によって、国家と教会の分離が決定的なものとなった」ということです。この「教会からの分離」という点を、トレルチは中世と近代の決定的な切れ目として捉えています。

・・・トレルチはマックス・ウェーバーのお友だちというのも、何だか気になるポイントなのだな。しかしまあとにかく自分的には、西欧におけるキリスト教中世と近代社会の連続と不連続を考えるのは大事なことだと思ってる。

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