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2014年7月24日 (木)

リキャップCBという「株価材料」

今月7日、カシオ計算機が「リキャップCB」による調達資金で自社株買いを行うと発表し、カシオ株は上昇。資金を新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行で集め、それを元手に自社株を市場から買い戻す――この財務手法は一見、矛盾した行動に見えるが、実際のところ、どれだけのメリットがあるものなのだろうか。本日付日経新聞総合面のコラム記事「真相深層」(財務組み替え 株高狙う)から以下にメモ。

本来、企業がCBなどで資金を集めるのは、生産設備を増やすといった資金が足りないとき。ところがカシオは、わざわざ外部から集めた資金で自社株買いをする。ねらいは自己資本利益率(ROE)の引き上げだ。
株式市場が評価するのは少ない資本で効率よく利益を稼ぐ高ROEの企業だ。自社株買いで資本を減らせばROEは上がる。
 

負債を抱えて資本を減らし、財務の見え方を変える。英語のリキャピタライゼーション(資本と負債の再構成)から「リキャップCB」と呼ばれる。 

CBは将来的に株式に転換できる権利が付く分、金利を抑えられる。株高期待のある今の環境だと、もはや企業は金利ゼロで集められるのだ。 

米国では2000年代半ばにリキャップCBのブームがあった。株主へ配当や株高で報いる必要がある資本より、負債の方がコストが安いと考えたからだ。そうした流れが日本にも訪れている。 

もっとも、全てを解決するわけではない。
もし株価が上がらず転換の機会がなければ、投資家に残るのは金利の付かない社債だけだ。株価が上がれば上がったで、株式へ転換が進めばROEを下げる要因となる。
 

「リキャップCBは見かけ上のROEを高める財務テクニックにすぎない」との見方もある。分母を一時的に減らしても、分子の利益が増え続けなければ、長期的な市場の評価は高まらない。 

CBは普通社債と株式の中間のもの。金利負担は軽く、公募増資ほど成長の未来図を厳しく問われない。その分、企業側の意識に曖昧さが宿る。 

資本効率を重視する経営姿勢は大きな一歩だ。ただ、いいとこ取りだけを狙ったCBがまん延するようだと日本市場の魅力を高める努力は本物にはならない。

・・・自社株買いが株価上昇につながるというのも、次の決算で前期以上の利益計上及び株数の減少を前提に、一株当たり利益が増加する見通しからだろう。逆に言えば自社株買いは、経営者が増益見通しを確信している証とも言える。しかし本筋は企業収益の成長、つまり利益率上昇によるROE向上の実現という基本が肝心だろう。現状では、自社株買いは単なる株価の刺激材料になっている感がある。

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