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2013年12月23日 (月)

皇帝フリードリッヒの人物記録

同時代人から見た神聖ローマ皇帝フリードリッヒ二世とはいかなる人物であったのか。『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(塩野七生・著、新潮社)から、年代記作者の皇帝に対する評価をメモする。まずは反皇帝側に立つ記録者の証言。

不幸にも、生涯を通して彼は、ローマ・カトリック教会への敵対をやめなかった。
いかなる宗教も信ぜず、不信仰の徒として生きた彼は、エピキュロス的享楽主義者であり、霊魂の不滅を信じなかった。
常に行動していた。中背だが、容姿振舞は美しく、彼に初めて会ったとき、わたしはすぐに彼が好きになった。そのときも彼は、相手によってただちに変えるほど、多くの言語を難なくあやつっていた。
もしも彼が、良きカトリック教徒として神と教会への忠誠を欠かさなかったならば、同時代の君主の誰よりも傑出した統治者になっていたにちがいない。

・・・そして皇帝側に立つ記録者の見方。

何よりも確かなのは、フリードリッヒは開けた精神の人であったということだ。言動は常に大胆だったが、それも彼自身の賢明さによって均衡を保つことは知っていた。彼が生きた時代の主流であった考え方に妨害されることさえなければ、より偉大な業績を残すこともできたろう。
学芸の奨励ばかりか教育面の充実にも熱心で、皇帝自身も、自身の知性の表現には熱心だった。自然科学への深い関心と、その成果でもある『鷹狩りの書』を書くことによって。
しかし、何と言っても特筆に値するのは、法治国家建設への彼の強烈な熱意であろう。法律は誰に対しても公正に施行されるべきという信念は、あらゆる妨害を前にしてもゆらぐことはなかったのである。

・・・次のイギリス人修道士の記録に含まれる言葉は、広く世に知られることになる。

世俗の君主の中では最も偉大な統治者であり、世界の驚異であり、多くの面ですばらしくも新しいことを成した改革者であった。

・・・「世界の驚異」(STVPOR MVNDI、ストゥポール・ムンディ)は以後、フリードリッヒ2世を指す言葉となる。それは偉大な君主に捧げられた「尊称」と言ってよいだろう。

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