« 日本史を二分割して見る | トップページ | 『カール五世』復刊 »

2013年11月14日 (木)

もう経済成長はない。とか。

成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか』(徳間書店)は、証券業界出身のエコノミスト水野和夫と、朝日新聞記者の近藤康太郎の対談本。内容は、水野に近藤が意見や質問をぶつけていく格好で進む。以下は自分的にポイントと思われる部分のメモ。

近藤:あえてすごく強引に、乱暴にまとめるとですね、結局、水野理論の中核というのは、資本主義にとって絶対に必要なエンジンがあるということ。で、それは何かというと、空間なんだ。周辺とか周縁と言ってもいいけど。
水野:そういうことですね、はい。空間が必要で、しかもそれは成熟化していない空間。未成熟な空間が必要だということです。

近藤:「成長がすべての病気を治す」。この命題の正否はどっちなんですか?
水野:正です。だけど「成長し続けることができる」という命題はダメなんですね。
近藤:なぜかというと、「空間」が有限だから?
水野:そういうことです。空間が有限だから、かつ、周辺が周辺であり続けることはないから、という理由です。

近藤:今、すごく需要のあるものもありますよ。たとえば医療や介護とか。環境問題も、エネルギーだってそうだし。農業だってそう。
ガンガン投資して、雇用も生んで、成長していけばいいんじゃないのって論、これもダメなんですか?
水野:それはいいと思います。ただ、付加価値を成長させる、名目GDPを成長させることに無理があるんだというのが、僕の主張なんですよ。Aを売り上げとして、Bを仕入れ値とすると、A-Bが付加価値、いわゆる名目GDPになる。成長はずっと持続できないですよと申し上げた意味は、この式で言うAの売り上げが増えるかどうかにかかってくるんです。
仕入れ値、原材料費のBは、どんなに頑張ってもゼロ以下にはできない。だから、売り上げであるAが伸びない限り、成長には必ず限界があるんです。

近藤:A-B=付加価値、つまり成長。この式で全部が説明できる。
水野:うふふ、ちょっと単純化しすぎていますかね(笑)。

・・・空間とか周辺とか、使い古された言葉ではフロンティア、はもう何処にもない。売り上げは伸びない。原材料費は高止まり。となれば利益成長のために、まずは人件費を削る。これが俗に言う「新自由主義」。この本の中でも「成長が止まったので新自由主義が現れた」との指摘がある。成長の限界が意識される中で、「成長戦略」があれこれ取り沙汰されてはいるけど、これも所詮、悪あがきにすぎない。ってことか。

|

« 日本史を二分割して見る | トップページ | 『カール五世』復刊 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/174032/53894645

この記事へのトラックバック一覧です: もう経済成長はない。とか。:

« 日本史を二分割して見る | トップページ | 『カール五世』復刊 »