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2013年10月15日 (火)

「使徒言行録」の読み方

佐藤優によれば、聖書の「使徒言行録」は「人生の実用書」として読めるそうな。『聖書を読む』(中村うさぎとの対談、文藝春秋)から、「使徒言行録」について語っている部分をメモ。

中村:アソシエーションとコミュニティの違いは何ですか。
佐藤:コミュニティというのは自然に発生するもの。アソシエーションは自発的結社。
中村:じゃあ、ペトロの始めたこの教団もアソシエーションなんだね。何だかものすごく嫌いになっていくの。「使徒言行録」を読めば読むほど、キリスト教の集団が。
佐藤:それが、まさに「使徒言行録」を読む大きな目的なわけで、イエスのいるときはあれほど魅力的な一つのグループであり、素晴らしいイエスの言説のもとにまとまっていたわけでしょ。それが死んでからわずかの間に、こういういやらしいような組織になっていって、自己保身みたいなことしか考えない人たちや、組織の論理しか考えないようになっていく。その人間の性(さが)というものが酷いってことを正直に書いている記録と考えると、面白いですよね。
明らかにイエスには、自分がキリスト教なんて新しい宗教を開いたつもりは微塵もなかった。「本来の神様に返る」とは言ったんだけれども、ユダヤ教から大きく離れるものではない。しかし、パウロは「イエスさんがおっしゃるには」と、イエスの名をやたらと使って新しい宗教をつくるわけですよね。その新興宗教を使って世界的な規模に拡大するということなんで、経営者としての能力も優れている。相当なオーガナイザーであり、口八丁手八丁であり、相当なずるさもある。しかし、その中には何かに取り憑かれた純粋さもあると。そして、本当に重要なこと以外、なんでも妥協してしまう柔軟さも備えており、キリスト教が成功した秘訣というのは、このパウロという男にあると思うんですよね。

中村:でも、やっぱり聖書の中で一番政治的なものだよね、「使徒言行録」って。なんか無垢じゃない(笑)。特にパウロが登場してからは、本当に非常に狡猾で、純朴さのかけらもない。
佐藤:でも、やっぱり生き残る技法は大したもんですね。これを読んでると、エネルギーが湧いてくるじゃないですか。
中村:それは佐藤さんが政治が好きだからだよ。
佐藤:いや、本当にいい本ですよ。
中村:はっきり言って、佐藤さんはパウロです(笑)。

・・・とにかく、実質的にはパウロがキリスト教を作った。そして教団を組織してキリスト教を広めた。で、教団、つまり人間の集団の運営には良くも悪くもいろんなことがあるよな、という感じがする。

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