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2013年8月25日 (日)

ファシズムの歴史的背景

今から80年前の1933年、ドイツでヒトラー政権成立。この出来事は、戦間期後半のヨーロッパにおける「右翼の興隆」という潮流に根ざしていた――『近代ドイツの歴史』(ミネルヴァ書房)から以下に引用する。

第一次世界大戦末から戦後初期にかけてのヨーロッパは、ロシア革命や中東欧での革命、新興諸国家での議会制民主主義の導入、各国の左翼政党の躍進と政権参与に見られるように「左翼の興隆」が顕著であった。 

しかし、20年代半ば以降は、北欧やイギリス・フランスを除いたヨーロッパ各地で、右翼が左翼を凌駕するようになった。戦争直後の理想主義的すぎる憲法、相次ぐ経済不振、党派争いの激しい議会、不安定で無力な内閣。これらに幻滅した人々は強力な政権を望んだ。自由主義政党はほぼ中道を保ったが、普通選挙実施によって大勢力となった左右の大衆政党に、太刀打ちできなかった。その状況で、左翼を攻撃する形で右翼の興隆が始まった。右翼のうち、エリート主義的な要素が強いものを権威主義、人民主義的要素が強いものをファシズムと見なすことができる。 

ファシズムはナショナリズムの極限形である。国際協調を軽視し、、マルクス主義を敵視し、ヴェルサイユ体制を否定し、自由主義と個人主義に対抗して、民族や国家という「全体」の優先を提唱した。 

経済的には、資本主義の枠内にとどまりつつも統制経済の要求を強め、自由主義や共産主義と異なる道を唱えた。 

政治スタイルとしては、理性や議論よりも行動や決断を重視する武断的な様相を持ち、指導者が命令し、他の者は指導者に従う「指導者原理」を特徴とした。しかし君主制に戻ればよいというエリート主義的な復古主義ではなく、下からの大衆運動に基づいた、明らかに大衆政治時代の産物である。

・・・1920年代のドイツ・ワイマル共和国苦闘の構図は、30年代のスペイン内戦にも一層激烈な様相で引き継がれる。大雑把にいえば、「革命」政権に対する右翼の巻き返し。すなわち左翼を凌駕しようとする右翼。そしてまた、左翼の中にも急進派と穏健派の対立があるから、話は余計ややこしくなる。

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