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2013年7月24日 (水)

「銭湯富士」はユートピア

昨日23日付日経新聞の東京版記事「粋な銭湯富士 100年の歴史」からメモする。

JR水道橋駅近くのビルに「銭湯に初のペンキ絵」と記した千代田区の銘板がある。1912年、この地にあった銭湯の主人に頼まれ、静岡県出身の画家が描いた絵が銭湯富士の最初とされる。

都内の銭湯は現在約720軒。銭湯研究の第一人者、庶民文化研究所(東京・目黒)の町田忍所長によると、このうち約230軒にペンキ絵があり、その大半が富士山の絵だ。町田さんは「やはり日本一の山。末広がりなのもいい」と話す。

銭湯富士の季節は春~初夏で、手前に海や湖、川を描くのが基本だ。富士山で清められた水が湯船を満たしている設定だという。町田さんは「銭湯に行くことは、突き詰めれば霊峰富士の水でみそぎをすることを意味する」と解説する。

銭湯で「これはどこから見た富士山か」と思い巡らすのは野暮というもの。というよりナンセンスだ。富士山を能登半島の見附島(別名軍艦島)や日本三景の宮城・松島と一緒に描くなど、あり得ない構図が多い。「壮大な虚構」こそが銭湯ペンキ絵に通底する「粋」なのである。

・・・銭湯のペンキ絵は、富士山という現実の存在に依拠しながら、どこにもない場所(ユートピア)を描いている。現実の富士山は世界文化遺産に認定されたが、銭湯の「富士山」も庶民的「文化遺産」と呼びたくなる。

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