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2013年4月14日 (日)

哲学研究の実り豊かな頃

ちくま学芸文庫の新刊『ニーチェを知る事典』(渡邊二郎・西尾幹二編)は、『ニーチェ物語』(有斐閣、1980)の復刊本。そういえば、一昨年の秋にも、ちくま学芸文庫は『西洋哲学小事典』(生松敬三・木田元・伊東俊太郎・岩田靖夫編)を出しているのだが、こちらは『西洋哲学史の基礎知識』(有斐閣、1977)の復刊本なのだった。

いま、30年以上も前の本が復刊された経緯は知る由もないが、二冊とも内容は非常に充実していると言える。両事典の執筆者を眺めてみると、当時研究者として脂ののった方々が集結しているという感じで、今から思うと、あの頃は人文科学研究が一つのピークに達していたとも思える。多数の注目研究者を巻き込んで、三浦雅士編集長の雑誌「現代思想」は刺激的な展開を見せていたし、そこからあのニューアカデミズム、ポストモダン現代思想ブームもやってきたわけだから。

しかし80年代は遠くなりにけり。人文科学の凋落は甚だしい。実用的な知識や情報の優先度が高まって、昨今は一般教養の地位は暴落している感がある。(最近、リベラル・アーツとか言って、復権の動きもあるみたいだが)

まあそんな世の中的風潮とは係わらず、かつての哲学研究の実り多い時代の成果ともいえる本が復刊されているのは、個人的にはポジティブな感慨を持つ。時代的制約が多少あるとしても、30年前の研究が今も有効であると見なされるのは、それらの研究が本質的に高い水準を保っていることの証でもあるだろうから。

例えて言えば、昔のハードロックやプログレッシブロックが魅力ある音楽として、今でも充分聴けるようなもんだ。(違う?)

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