夜寝る前に考えると怖いこと
『日本人のための世界史入門』(新潮新書)の中で、小谷野敦先生がこんなことを書いているのが目に付いた。
人類の、有史というものは、どうやら地球という惑星の、ほぼ終末期に近いところに位置するらしく、つまり知的生命体が生まれたこと自体、かなり低い確率の偶然であって、宇宙にはほかにそういうものは存在しないようである。
こういうことは、誰しも子供の頃、夜寝る前に考えると、怖くて涙ぐんだりしたものだが、私ももちろんそうである。特に、宇宙が発生する前は、時間も空間も存在しなかった、と思うと実にぞっとしたものである。
・・・そうそうそう、全くそう。自分も子供の頃、宇宙には始まりがあって終わりもあるというのも、宇宙には始まりも終わりも無いというのも、どっちも怖い、と思った。
しかし子供心に、もっと端的に怖かったのは、死ぬこと。夜、寝る前に布団の中で考える。死ぬってどういうこと? こうして眠ってそのまま目が覚めないのと同じ?・・・怖い! やっぱり涙ぐんじゃうのである。
最近、全身麻酔の手術を経験した。眠りから覚めたのは14時間後だったが、自分には15分程度しか時間が経ってない感覚だった。なるほど人は目覚めるから、今まで眠っていたのだと分かるのだな。目覚めなければ、何も分からない。やはり子供心に抱いた死のイメージは、おそらくそんなに外れているものでもないなと感じた。
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