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2012年12月10日 (月)

国民国家VS「独立」地域

たまたまひと月前の「週刊エコノミスト」(11/20号)を眺め返したら、スコットランドの独立志向を伝える記事が目に付いて、地域が独自性を追求するのはスペインのカタルーニャだけじゃないというか、どうも近代国民国家からの離脱志向がトレンドみたいな感じ。記事(執筆者は山崎幹根・北海道大学公共政策大学院教授)からメモする。

スコットランドが、英国からの分離・独立の是非を問う住民投票を2014年までに実施することになった。経済的な自立を求める意識の高まりが背景にあり、超国家組織としての欧州連合(EU)の役割が拡大する一方、従来の「国民国家」という枠組みが相対化していることも影響している。欧州ではスペインのカタルーニャやバスク、ベルギーのフラマンでも独立運動が盛り上がっており、地域にとって望ましい統治のあり方を問いかけている。 

これらの独立運動の主張の背景に共通するのは、歴史的、文化的に強固な独自性を持ち、経済的な自立を求めていることだ。カタルーニャ州やバスク州、フラマン州はそれぞれの国のなかでも相対的に豊かな地域であり、スコットランドと事情は異なる。しかし、自らの域内で稼いだ富を他の地域へ移転するのではなく、自らのために使いたいという意識は同じであり、欧州全体を覆う景気の低迷が直接的に関係している。 

「国民国家」とはこれまで、「領土」「主権」「国民」の3要素を合わせて確立することを意味してきた。近代以降は、「国家には1つの国民が存在するべきである」との考えから、国家が社会、文化、経済面で国民の一体性を上から形作ろうとしてきた。一方、国家の「独立」とは、1960年代のアフリカ諸国に代表されるように、国家に抑圧されていた民族や文化、宗教の開放、そしてアイデンティティーの確立を大義とする「少数派の抵抗」の性格が強かった。 

しかし、EUの発足(92年)や共通通貨ユーロの導入(99年)など欧州統合の加速は、国民国家の役割を相対化するように作用した。また、地域間格差是正のためのEUの補助金が国家単位ではなく地域単位で活用されるなど、EUと地域との直接の結びつきも強まっている。国民国家中心の秩序が見直しを迫られるようになり、地域にとって望ましい統治の単位を追求するなかで、最近の欧州各地の独立運動は「強者の離脱」という図式に様変わりしている。 

独立を語ることとは、地域の側の自立だけでなく、国家のあり方への問題提起でもある。独立の要求を突き付けられた国家の側に、どのような理念によって国家の統合を維持するのかも問われている。

・・・世界不況に対応する動きとして、国家が一丸となって求心力を強めるパターンもあれば、国内の強い地域が独立を志向する遠心力の働くパターンもある。そう簡単に地域の「独立」が現実になるわけではないとしても、先進国におけるグローバル化の新たな局面が現われてきているような気もする。

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