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2012年12月22日 (土)

年金制度の抜本改革

総選挙では争点にすらならなかったが、政策としての重要度は1、2を争うと思われる社会保障制度改革。鈴木亘・学習院大学教授は、日経新聞電子版12月21日発信のインタビュー記事(今の高齢者はもらいすぎ 年金問題解決の糸口は)で、年金の賦課方式から積立方式への転換、「清算事業団」方式による年金債務の超長期返済、相続税の活用などを語っている。提言の概要は、今年7月19日付日経新聞「経済教室」(年金債務分離、税で処理を)に述べられているので以下にメモする。

年金財政はもはや崖っぷちの状態にある。どのような抜本改革が必要か。筆者は「年金清算事業団創設による積み立て方式移行」こそが真の問題解決方法だと考える。積み立て方式とは、若いころに納付した保険料を積み立て、老後にそれを取り崩して年金を受け取る方式だ。

今の高齢者やもうすぐ高齢者になる人に対し、政府が支払いを約束している年金総額に対し、政府の手元にある積立金は全く足りない状況だ。筆者の推計では、厚生・共済・国民年金を合わせた公的年金全体で750兆円の「債務超過」に陥っている。

積み立て方式移行とは、ごく簡単にいえば、この750兆円の莫大な債務を、年金制度から切り離して税金で処理をする改革だ。年金の話というよりも、企業の経営再建の話だと思った方が分かりやすい。例えば、国は「国鉄清算事業団」を設立して国鉄債務の大半を引き受け、JRを身軽な状態にして経営再建を進めた。

年金の事業再建も同じように考えられる。再建のためには、債務を年金制度から分離し、「年金清算事業団」に移せばよい。年金制度はその途端に身軽になるので健全な経営が可能となる。

しかし積み立て方式移行は「手品」ではない。年金自体は問題が解決しても、一方で年金清算事業団には膨大な債務が存在する。この債務処理を結局、若者世代や将来世代が「増税」という形で背負うのであれば「元のもくあみ」である。しかし、積み立て方式移行で債務処理を税の世界に移せば話は変わる。消費税引き上げや年金課税強化をすれば、高齢者世代に負担を求められる。

ただ、高齢者世代も生きている間に予定外の負担増を求められては困るだろう。そこで、彼らが亡くなってから、その相続資産に一律課税する「年金目的の新型相続税」を創設してはどうか。それでも不足する債務処理の財源として、遠い将来の世代まで薄く広く負担する「年金目的の追加所得税」を創設する。国が設立した年金清算事業団は倒産することはないから、100年でも150年でも債務を背負い続け、将来世代にわたり少しずつ債務を返却する計画が立てられる。

・・・鈴木先生は年金のほか、医療や介護なども含めた社会保障制度への公費(税金)の投入を制限することも主張している。とにかく先生の提言は抜本的かつ明快だと思われるのだが、どうして現実の政治に活かされないのでしょうか。

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