バブルと「辰巳」相場
バブルが起きて欲しいのはやまやまなれど・・・本日付の日経新聞電子版記事「くすぶるバブル待望論、問題は実現手段」(日本経済研究センターの前田昌孝氏)からメモ。
野田佳彦首相が衆院解散を表明した11月14日を境に東京株式相場は様変わりになったが、政権公約の実現度は別として、自民党が唱えている200兆円の公共事業実施と積極的な金融緩和策の組み合わせを市場は前向きに評価した可能性がある。
新聞社の事前の世論調査通りに、衆院選で自民党が圧勝し、安倍晋三自民党総裁が首相に就けば、リフレ政策実現の可能性が高まったとみて、株を買おうという動きが強まる可能性もある。確かに、極端なリフレ政策には反対論も多く、「財政出動と金融緩和が組み合わさると、日本経済がバブルになるからダメだ」という声もある。ただ、バブルには良い面もあり、一概には否定できない。
バブル局面では経済の先行きに対して明るい見方をする人が増えるし、企業業績が好転し、法人税収も上がる可能性がある。バブルの芽になりそうなことを全部つむような政策運営をすれば、経済の先行きに対する期待は膨らまないし、企業にも設備投資意欲など出てこない。「絶対にバブルはダメだ」などとかたくなになる必要はあるまい。
東京株式市場では過去2回、えとが辰または巳の年にバブルが発生していた。日経平均が3万8915円の史上最高値を付けた1989年は巳年だったし、情報技術(IT)バブルの波に乗って2万0833円の高値を付けた2000年は辰年だった。「辰巳天井」あるいは「戌亥の借金、辰巳で返せ」という相場格言通りの展開だった。辰年だった今年はバブルと言えるほど相場が盛り上がっていないので、巳年の来年には大相場があるかもしれない。
ただ問題は、仮に政府や日銀が「今の日本経済にはバブルが必要だ」と判断しても、実現に向けての有効な政策手段が見当たらないことだ。規制緩和などの地道な努力によって、景気の先行きに対する期待感を徐々に高めつつ、お金の流れがミクロで目詰まりしないように的確な政策を講じれば、「良いバブル」が形成される可能性は高まるが、それこそ政府や日銀のきめ細かな政策能力が試されるだろう。
・・・バブルが起きて欲しいのはやまやまなれど、際限のない金融緩和は通貨の信認を危うくするだろうし、無闇に財政出動すれば国家財政は破綻の淵に近づくだろうし、政策の大胆な展開には二の足を踏む感覚もある。今のところ更なる円安進行を願うほかない感じ。
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