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2012年10月22日 (月)

忍城「水攻め」は無かった

昨日は、地元の西葛西図書館で歴史研究家・桐野作人の講演を聞いた。お題は「忍城水攻め」。で、結論的には「水攻めは無かった」。もう少し詳しく言うと、遺された一次史料から読み取れることは、堤防工事が行われたということのみで、堤防が完成したことも、水が流し込まれたことも確認できない。ましてや堤防が決壊してしまったという話は、後世の軍記物の記述である(から事実とは考えにくい)、とのこと。

忍城攻めは、天正18年(1590)、豊臣秀吉の小田原征伐に伴う関東制圧戦の一環として行われた。北条方の有力支城の一つである忍城の攻略に当たり、秀吉が石田三成に水攻めを命じて、堤防工事に着手したのは確からしいのだが、堤防が完成する前に小田原本城が降伏(7月6日)して、程なく忍城も開城(7月14日)したということで、結局水攻めは日の目を見ることなく作戦終了した、らしい。一次史料からは、堤防工事中に石田方と城方との間で局地的に戦闘が行われたことが確認できるので、その辺が忍城攻めの実態ということか。

あの「太閤記」にも、水攻めの記述は無い。軍記物に堤防決壊の話が出てくるのは、江戸時代の後期になってから。つまりは「水攻め」は後世の創作の可能性が強い。

歴史上の出来事はホントのところどうだったのか、それを知るのは難しい。どうしても面白おかしく語られた話の方が広がりやすいということもあるだろうし・・・結局、専門家による地道な史料の批判的検討・解読を頼るしかないのだな。

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