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2012年8月27日 (月)

「われわれ」の再構築

社会を変えるには』(小熊英二・著、講談社現代新書)は、500ページという重量級の新書。その第4~7章から、無理矢理要点を絞って以下にメモする。

現代の「代議制民主主義」において、「われわれの代表」を選ぶという行為は、人々を納得させる力を失いつつあります。なぜなら、近代化が進んで人々が「自由」になり、階級意識や地域への帰属意識が無くなり、「われわれの代表」の「われわれ」も無くなってきたからです。代議制の自由民主主義への不満が高まったとき、デモや社会運動や国民投票をはじめとした直接民主主義で補ってやらないと、人々が納得しないのは当然です。

現代思想に大きな影響を与えた現象学。それを取り入れた社会学の考え方が重視するのは、自分も世界も相手も、作り作られるものであり、それがどのように構築されるかということ。この作り作られる関係のことを「再帰性」という。

ギデンズが説く「再帰的近代化」。それは、すべてが再帰的になる、つまり作り作られる度合いが高まり、安定性を無くしていく近代化のかたちです。人々が「自由」になり、選択可能性が増大すると、再帰性は飛躍的に増大する。再帰性の増大には、再帰的に対処するしかない。具体的には対話の促進。対話によってお互いが変化し、関係そのものを変えて、新しい「われわれ」を作る。

旧来の「われわれ」に基づいた政治が、人々が「自由」になるなかで崩れているのであれば、新しい「われわれ」を作るように努力する。公開と対話によって人々の参加を促し、そのための場を作って決定権を持たせ、エンパワーメントするのが、政府や専門家の役割です。

貨幣経済が浸透し、ポスト工業化社会へ移行し、再帰性が増大した社会。そのなかで、みんなが共通して抱いている、「自分はないがしろにされている」という感覚を足場に、動きをおこす。そこから対話と参加を促し、社会構造を変え、「われわれ」を作る動きにつなげていく。

運動のおもしろさは、自分たちで「作っていく」ことにあります。楽しいこと、盛りあがることも、けっこう重要です。盛りあがるというのは、「みんな」や「われわれ」を作るということなのです。動くこと、活動すること、他人とともに「社会を作る」ことは、楽しいことです。社会を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと。

・・・いつでもどこでも「われわれ」を立ち上げようとする意思が、社会を変える力になる。のだろう。

で、小熊先生は良くも悪くも研究者、理論家だよな、という感じです。啓発される指摘も多いのですが、やっぱり少しカンネン的かなとか思います。

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