« 「われわれ」の再構築 | トップページ | サラエボ・ハガダー »

2012年8月28日 (火)

民主主義は、めんどくさい。

湯浅誠は提言する。異なる意見を調整して合意形成する民主主義は、おそろしく面倒くさいものである。その事実を直視することから始めよう、と。『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日新聞出版)から、メモする。

「強いリーダーシップ」待望論、「決断できる政治」への期待感。これは一言でいうと、利害調整の拒否という心性を表しています。 

誰に対しても、意見交換や調整を頭から拒否すべきではない。地味だけれども、調整して、よりよい社会をつくっていくという粘り強さをもつ人たちが必要です。そういう人をたくさん増やすこと、自分たち自身がそういう人になることが重要だと思っています。 

私は、最近、こう考えるようになりました。民主主義の深まり具合は、時間と空間をそのためにどれくらい確保できるか、というきわめて即物的なことに比例するのではないか。
時間と空間の問題は、言い換えれば参加の問題です。
空間づくりが場づくりです。人と人が出会う場、関係のないところに関係をつくる場、人と人との関係を結び直す場づくりというのは、面倒くさいものです。その面倒くささは、民主主義の面倒くささに通じます。 

「人と人を結びつける」「人と人との関係を結び直す」「一からコミュニティをつくる」のはどういうことで、そのためには何をすればいいのかというノウハウの蓄積が、日本には乏しい。
その事実と向き合い、その事実を受容して、その改善に具体的に取り組むこと。

従来の血縁、地縁、社縁も活用しながら、かつそれだけに閉じこもることなく、他との交流を多様に進めていく必要があります。そのときに必要になるのが「人と人を結びつける」工夫と仕掛けです。

より多くの人たちが相手との接点を見出すことに注力する社会では、自分たちで調整し、納得し、合意形成に至ることが、何よりも自分たちの力量の表れと認識されるようになります。
難しい課題に突き当たるほど、人々はその難しさを乗り越える工夫と仕掛けの開発に熱意を燃やし、それを楽しく感じます。 

ヒーローを待っていても、世界は変わらない。ヒーローは私たち。なぜなら私たちが主権者だから。私たちにできることはたくさんあります。それをやりましょう。

・・・あらゆる場所で人々が交流しお互いの接点を見出そうとする意思が、民主主義の基礎になる。のだろう。

それはそれとして、自身の兄が障害者であるとか、母親から「ホームレスなんかにかぶれている」と心配されたとか、そんな著者の身辺事情?を、この本で知るのも、ちょっと面白かったりする。

|

« 「われわれ」の再構築 | トップページ | サラエボ・ハガダー »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/174032/46846831

この記事へのトラックバック一覧です: 民主主義は、めんどくさい。:

« 「われわれ」の再構築 | トップページ | サラエボ・ハガダー »