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2012年3月25日 (日)

消費増税だけで財政再建は無理

雑誌「Voice」4月号掲載、エコノミスト3人の鼎談記事(「消費増税で財政再建」はまやかしだ)からメモする。

飯田泰之・駒澤大学准教授:ハーバード大学のアレシナ教授の有名な一連の研究でも、財政再建は増税でなく、歳出カットや経済成長が主役になっています。しかし民主党政権は、無駄を削る、政治家や官僚が身を削るといった政策すらできていません。加えて日本の場合、歳出の主な部分が高齢者への支給なのでなかなかカットできず、それどころか増えざるをえない状況です。

鈴木亘・学習院大学教授:これは基本的に少子高齢化という人口ファクターが要因です。歳出カットも重要ですが、やはり税収を増やすための経済成長というバックアップが不可欠でしょう。

安達誠司・ドイツ証券シニアエコノミスト:リーマン・ショックまでの十年間の景気をみると、先進国クラブであるOECD(経済協力開発機構)の平均成長率は4.4%です。日本がもっとも低く、次に低いのがドイツですが、ドイツも2%を超えています。

飯田:4%成長を実現すれば、すべての問題が解決するとはいいませんが、ずいぶん楽になりますね。

鈴木:税収を増やすと同時に、社会保障の分野には無駄がたくさんあるので、それを効率化する。日本の社会保障の仕組みがほかの先進国と違う点は、公費の投入率がきわめて高いことです。そのおかげで実際の価格より安くサービスが買えるのです。そのため需要が増えるのは当然で、いま超過需要が非常に大きな問題となっています。さらに、大量の公費が投入されているとなると、政府としてはなんとかそれを絞ろうと考えます。そのまま需要に応えていたら、たいへんな支出増になりますから。だから、いろいろと規制を強化する。まず価格統制を完璧に行なっています。参入規制も行ないます。競争が生まれず、非効率になっていく。そして新規参入がないことで、みんなが仲間となってしまい、巨大な政治勢力となっています。

飯田:社会保険は保険料で賄うべきだというなかで出てくるのが、現在の賦課方式から積立方式に移行しようといった議論です。

鈴木:(賦課方式から積立方式に移行しても)債務が残ることは確かで、これは国が背負うのです。子々孫々にわたって少しずつ、税というかたちで返していく。債務を税で返すなら、高齢者からも徴収することが可能です。とくに望ましいのは、相続税で支払ってもらうことでしょう。

安達:いま個人の金融資産の70%程度を、65歳以上の高齢者がもっていますからね。

飯田:実際、日本の相続財産は年間80兆円発生しています。それに対して税収は、わずか1.4兆円です。これを一律20%課すことにして、100年続ければほぼ返済でき、社会保障の穴埋めのための消費増税は必要なくなります。
いずれにしても、やはり税収を上げることが不可欠ですね。

安達:まずは名目4%成長を達成することでしょう。政策でいえば、基本的には金融緩和で、為替レートがある程度の円安であることも大事です。もう一つ大事なのが、若い人が働きたくなる税制にすることです。たとえば所得税は下げる。法人税も下げる。企業を新しくつくった方への特例を認める。「社会保障と税の一体改革」では、そうしたものをすべて含めて行なう必要があります。

・・・制度改革を置き去りにして、増税だけに血道を上げる野田政権の先行きは暗いとしか言いようがない。

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