新書大賞『ふしぎなキリスト教』
「中央公論」3月号で発表された「新書大賞」。昨年刊行された新書の中で、高い評価を集めて大賞に輝いたのは『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎と大澤真幸の共著、講談社現代新書)。
雑誌掲載の著者二人のミニ対談では、発行部数20万部に達した理由は全然わからない、震災が遠因か、という橋爪先生の発言もあったけど、売れた理由は編集者に聞いた方が良いかもしれない。編集者は『生物と無生物の間』(福岡伸一・著)も担当した方とのことで、かなり有能な感じがします。
大体、昨年起きたことは何でも震災が理由になるってことは無いわけで、そもそも「キリスト教」を知りたいという読者のニーズがあることは、一昨年に雑誌「Pen」のキリスト教特集が大いに売れたことに、ハッキリ示されていたと思う。だから、「Pen」の特集に続いて『ふしぎなキリスト教』が現れた時、これは一つのトレンドだなと自分は納得する感じがあった。
なので、震災がなくても、この本は売れたはずだし、今この本を出す著者及び編集者の意図も、多くの読者に確実に伝わっているだろう。
対談の最後に大澤先生は、「日本はキリスト教とは異なる文化的伝統のなかにありながら、西洋の制度や学問を取り入れて近代化してきました。西洋の中核にあるのがキリスト教ですから、社会をトータルに理解する上で、キリスト教は要になっているように思います」と語っている。
おそらくこのような認識は、近代化をほぼ終えた今の日本人に多かれ少なかれ意識されているだろうし、だからこそ、『ふしぎなキリスト教』は多くの読者に支持されたのだと思われる。
(ブログ内関連過去記事)
キリスト教と理性 (2011.6.12)
「橋爪×大澤」トークイベント (2011.8.31)
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