映画「アンダー・コントロール」
ドイツ映画「アンダー・コントロール」は、「原発関連」ドキュメンタリー。この春、核廃棄物処理施設の映画「100,000年後の安全」を見た私としては、こちらも見ておきますか、という感じで行くことにした。
映画は、ドイツにおける原子力発電所を巡る様々な現実の断面を紹介していくのだが、何しろ地味な作業や説明を淡々と映し出していく場面が多いので、見ているこちら側に強い感情が喚起されることも殆どないまま、静かに時間が過ぎていくのだった。(要するにちょっと眠くなりました、ってことです)
ひとつハッとした映像は、遊園地になった原発施設。完成したものの、使われることなく終わった巨大な冷却塔の中に立つ、空に向かって伸びる高い鉄塔。傘の骨のようなスタイルでブランコをぶら下げて回転する。最初に見た時、合成?と思ったくらい、ちょっとシュールな印象があった。
原発の是非、といった価値判断を示す映画ではないのだが、相当な手間ひまをかけて「支配下」に置かなければならない核技術というものに対して、ネガティブな感覚が生まれるのは抑えられないな、というのが正直なところ。
同じ原発関連とはいえ、焦点は異なる「100,000年後の安全」と比較してみると、「100,000年後~」が一種哲学的なメランコリーを漂わせるのに対し、「アンダー・コントロール」は概ね散文的な映像に終始しているので、映画としては「100,000年後~」の方が印象的だったな。
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