値段が付く事が市場では肝心
本日付日経新聞市況欄コラム「大機小機」(長期投資家と証券市場)からメモ。
証券市場における合理的な株価形成を考えれば、株式の売り買いを繰り返してくれる多数の投資家が必要である。多数が売買に参加することによって、多数の人々の判断を総合してよりよい価格形成ができるようになる。そのようにして取引される株式の量が大きければ大きいほど、市場はうまく機能する。
株を買った後は長期にわたって持ち続けてほしいと思うのは、経営者としては自然な感情である。だから、企業経営者は、短期で取引を繰り返す投資家よりは、長期にわたって持ち続けてくれる株主の要望にこたえようとする。日本はこの傾向がより強い。
企業にとっての望ましい投資家と、市場にとっての望ましい投資家とは違うというのが、証券市場に内在する根本的な問題である。市場関係者と企業経営者が想定する投資家が異なる結果、市場関係者が決める規制やルールが企業経営者にはゆがんで見えてしまう。
この場合、どちらが正しいとは一概に言えない。両者が納得できるルールを設定するのは難しい。不可能だと言ってもよいかもしれない。
・・・ということで、コラム氏は一例として国際会計基準(IFRS)を挙げている。つまり、投資家が投資対象である企業を比較評価するための世界共通基準がIFRSであり、企業経営者にとっては余り意味のない会計基準である、という話。
IFRSはともかく、コラムの初めにある合理的な価格形成、要するに値段が付くってことが大事、それは証券会社に勤めるワタシも強く思う。長期投資家や企業経営者が眉をひそめるかも知れない人たちである投機家や短期投資家、彼らが毎日でも売買してくれるおかげで株価が付く、それが何より大事。当たり前のことかも知れないけど、何事もそこから始まるわけで。(時に合理的というより心理的な価格形成もあるけどね)
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