« 関ヶ原の華は大谷と福島 | トップページ | ウォール街の中心で不満を叫ぶ »

2011年10月 6日 (木)

先進国経済には規律が必要

ギリシャ問題に手を焼くヨーロッパの混乱は、低成長経済への対策に動いた先進国が、かえって経済低迷の道に追い込まれるという逆説を示しているようだ。本日付日経新聞「経済教室」(財政統合より規律優先を、執筆者は大村敬一・早稲田大学教授)からメモ。

ユーロ圏の問題に限らず、先進主要国の財政問題は実物経済の低成長に起因する。成熟化した経済では、低成長の民間企業に代わり、政府が典型的な赤字主体となり経済を主導する。ただ、財政主導へのシフトで経済は持続できるが、生産性が向上するわけではない。税収増が望めないので政府は国債発行に依存するようになる。その場合、政府にとって低金利の環境は好都合だ。低成長下における低金利は、民間企業なら受容されない過剰な国債発行を招く。富の蓄積が巨額な成熟国ほど、このモラルハザードは顕著だ。 

さらに低金利で行き場のない富が金融機関経由で国債に向かう。成長を断念した政府は中央銀行をバックに国債を発行し「債務の乱売者」に陥る。
政府は最大の赤字部門として、銀行預金より低リスクの国債を発行し、社会福祉などの移転支払いや政府機関融資に振り向ける。移転支払いは付加価値を生まないので富は一方的に費消される。安易な債務乱売に頼った人災がソブリンリスク(政府債務の信認危機)だ。
 

世界の経済成長を支えてきた金融ビジネスや金融機能の拡大も実物経済の低成長がもたらしたといえる。金融ビジネスはもともと実物経済活動の支援機能を果たす黒子だ。しかし実物経済の拡大に陰りがみえてきたとき、金融ビジネスは自己増殖的に肥大化し始めた。
そして、必然的に肥大化する金融ビジネスに対する最後の貸し手として「大きな政府」が機能し、中央銀行の資産内容を悪化させる。

・・・経済が低成長の壁にぶつかると、政府の債務が膨張し、金融部門が肥大化する。金融バブル崩壊の後始末に国家が取り組めば、必然的に「大きな政府」が現れる。それは、さらなるモラルハザードを招きかねない。どこかで規律を徹底し、歯止めをかけなければならないのだが、現実の落としどころは難しいというほかない。

|

« 関ヶ原の華は大谷と福島 | トップページ | ウォール街の中心で不満を叫ぶ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/174032/42330325

この記事へのトラックバック一覧です: 先進国経済には規律が必要:

« 関ヶ原の華は大谷と福島 | トップページ | ウォール街の中心で不満を叫ぶ »