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2011年8月23日 (火)

日本の財政再建と円の国際化

超円高は日本に国際的流動性を期待する動き、と説くのは櫻川昌哉・慶応義塾大学教授。本日付日経新聞「経済教室」(ドル体制終焉の引き金に)からメモする。

欧米各国は、政府債務残高のGDP比が100%に達しようとする段階で財政リスクが取りざたされるのに、日本は200%を超えても国債の消化が順調で利回りが安定している。その理由のひとつは、国内投資家の保有比率が約95%と高いことである。

(米国の)債務上限を巡る議論から透けて見えるのは、対外依存度が50%近くに達する国家財政に国債増発の余地は少なく、今後安定的に流動性を供給することが難しくなりつつあるという事実だ。

ある通貨が基軸通貨になるためには、通貨価値の安定と潤沢な流動性供給が保証されなければならない。

(ドルは)他の主要通貨に対して減価を繰り返しながら流動性を世界に供給するという不安定な状態が続いたが、今回のドル不安は、ドル体制の終焉への始まりと理解せざるを得ない。

世界経済の安定のためには、ドル不足を補う新たな流動性の供給元を見つけるしかない。新たな流動性の供給元は、対外資産が潤沢で通貨価値が安定しており、かつ大量の流動性つまり国債を発行し、さらには国債の対外依存度が低く海外での国債発行余力が高いという、3つの条件を兼ね備えている必要がある。これらの条件を満たすのは、実は日本だけである。

現在のドル体制では、対外資産が債務超過の米国の通貨が基軸通貨として使われ、豊富な対外資産を持つ日本と中国の通貨は、ほとんど国際通貨として利用されないという、「ねじれ現象」が生じている。こうしたねじれは、いつまでも続かないことを、歴史は教えてくれる。

今回の歴史的円高はポストドル体制に向けて、国際的流動性について米国債から日本国債への、一部肩代わりを求める市場の期待と理解できる。好むと好まざるとにかかわらず、日本国債の対外依存度は高まり、日本の財政は外国人投資家から強い規律付けを受けることになるだろう。確かなのは、日本の財政再建はもはや日本経済だけの問題ではなく、国際通貨体制の安定に関わる世界経済の問題だということだ。

・・・円は「隠れ基軸通貨」だという話もあるが、まともな基軸通貨となるためには、日本が強い意志を持って、財政再建と円の国際化、セットで取り組む必要がある。それは世界経済の安定にも寄与する、ということ。

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