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2011年1月29日 (土)

基礎研究を支援するのだ

科学を役に立つ、立たないで「仕分け」するのは愚かな行い。ノーベル賞科学者の益川敏英先生と、iPS細胞を発明した山中伸弥先生の対談本、『「大発見」の思考法』(文春新書)からメモ。

山中:事業仕分けによって、科学予算はますます圧迫されています。たしかに最初からピントの外れている研究にお金を出すのは全くのムダです。しかし、科学研究の場合、どこから科学の芽が出てくるかわからないし、偶然にすごく貴重な芽が出てくることもある。これは私自身の実感からなのです。
1999年から4年間、私は奈良先端科学技術大学院大学で、誰にも注目されずに「細胞の初期化」の研究を細々としていました。もちろん研究費はほとんど出ていませんでした。
その状況が大きく変わったのは2003年のことです。科学技術振興機構のプロジェクトに応募して、必死のプレゼンをした結果、年間5000万円の研究費が5年間支給されることになったのです。このときの審査で、海のものとも山のものともしれない私の研究を評価して頂いたことに、心から感謝しています。

益川:事業仕分けの時に、「この研究は具体的に何の役に立ちますか?」という質問がよく出てきました。
色々な補助金や政府からの予算をいただく時にも、「この研究は具体的に何の役に立ちますか?」という言い方がよくされるのですが、科学の世界では、学問の必然性に従った地道な研究を続けて、はじめて何かを発見することが多い。目先の利益ばかり追求して「早く成果を出せ」というようなことばかり言っては、きちんとした研究にならないのです。「日本人よ、やっぱり一番を目指せ」と僕は言いたいですね。

・・・アメリカの研究環境と日本のそれとは相当の落差があるらしく、山中先生はアメリカ留学から帰国後、奈良に職を得るまでの時期に、「うつ」状態にまでなったと告白。すぐに成果が見込めないからといって、闇雲に基礎研究の予算を削るのも、将来的に日本の科学を貧しくする恐れがある。細かい「仕分け」のためには、山中先生の研究に可能性を認めた審査官のような、「目利き」を増やす必要もあるとは思われるが、とりあえず自分の納める税金はすべて基礎研究分野にと、使い道を指定したい気分。

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