« 社会保障関係費の呪縛 | トップページ | 自分の「すべきこと」 »

2010年12月23日 (木)

十字軍!

雑誌「PEN」のキリスト教特集、再び。今年の春先にキリスト教の特集を組み、間を置かず増補版別冊も出した雑誌「PEN」が、年末に来てまたやりました「キリスト教とは何か。Ⅱ」(1/1・15合併号)。とりあえず今回も買っちゃいました。

前回同様、絵画作品によるキリスト教案内という内容で、今回は新約聖書、「イエスの教え」が中心。このほか、ミケランジェロやラファエロ、カラヴァッジョなど西洋絵画の巨匠、聖地や教会など、すべてカラー図版で紹介されている。

で、目に付いたのが十字軍の解説。メモしてみる。

11世紀当時のヨーロッパは、封建制がほぼ完成しており、王や諸侯が新たな土地を獲得したくても、土地が不足している状態だった。また、土地に縛られ搾取されていた農民にも、不満が増大していた。十字軍遠征は結果的に、こうした多くの民衆のフラストレーションを、まとめて異教徒の地に向かわせることになった。

十字軍遠征は大きいもので8回、2世紀にわたって繰り返されたが、成功といっていいのは最初の第1回のみ。次第に本来の目的は形骸化。王侯や商人たちの利権欲がむき出しとなり、略奪や強欲な貿易が目立ってくる。

戦果としては、第1回以外はほぼ失敗だった十字軍。終結後の欧州での勝者は商人のみ、敗者は教皇や国王、諸侯らといえる。台頭してきた商人たちは自治都市国家を形成していく。また、聖地回復時にピークを迎えた教皇の権威は、その後の失敗続きで次第に衰退。十字軍での東方貿易で財力を得たベネチアなど北イタリア都市の商人たちは、後のルネサンス期に芸術家のパトロンとしても活躍していく。

十字軍の真の評価は定まっていないが、キリスト教の闇の歴史の一部であることは否定できない。得たものは聖地ではなく、医学や航海術など、ヨーロッパより先進的なイスラムの文化だったのは皮肉な結果だ。

・・・キリスト教中世のピークで企てられた十字軍という一大プロジェクトは、イスラムからのギリシャ学問の逆輸入や都市国家の繁栄を通してルネッサンスを準備するという、中世の自己否定の契機となった。アレクサンダー大王の遠征、ゲルマン民族大移動、モンゴル帝国や大航海時代等々、戦争を含めた人々や文物の大移動が、社会や文化の再編を加速し、次の時代を準備する。歴史には、そんなダイナミズムがしばしば見られる。

今年は塩野七生の「十字軍物語」の刊行も始まったんだっけ。まあ自分的には十字軍といえば、やっぱりフリードリヒ2世(シチリア出身の神聖ローマ皇帝、第6回十字軍で戦わずに外交でエルサレム共同管理を実現)が一番のハイライトです。

|

« 社会保障関係費の呪縛 | トップページ | 自分の「すべきこと」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/174032/38188074

この記事へのトラックバック一覧です: 十字軍!:

« 社会保障関係費の呪縛 | トップページ | 自分の「すべきこと」 »